第2章 センラ
シックな色合いが強調された部屋に通され、モノトーンで落ち着いたデザインのベッドへと誘導される。二の腕をそっと支えるようにセンラさんの手がふれて、その暑さに促されるままにベッドへと腰を下ろした。
彼が近付くたびに香る香水。格調高く、すっきりとした優美な匂い。その香りが自分に巻きついて、離れない。鼻から受ける刺激が、ジクジクと欲を高まらせる。強制的に、暴力的に、こじ開けられる。
厚めな彼の唇は手入れが行き届いているのか、リップグロスでも塗ったようにぷるりと濡れている。それがなんとも官能的な美味を連想させて、思わず視線をそらした。
俯いていてもわかる。彼が、自分との距離を縮めているのが。大きな手が、ベッドについた自分の手と重なる。もう片方の腕が背中に回って力強くセンラさんの胸に顔が押し当てられた。
抱きしめられて感じる。体温の温かさ。自分よりずっと広くて大きな胸もと。鎖骨にある黒子。それがよく映えるほど真っ白な肌。
体が、震える。沸き立つ疼きに耐えられなくて顔をあげれば、彼の大きな目と視線があった。
唇が、彼の唇ですっぽりと包まれる。飲み込まれるようなキスだった。その柔らかさに、感触の良さに、膣内がきゅっと締まる。
すぐに離された唇が恋しくて、もがいた。もっと、としがみついて、必死にねだった。
息をもらすように彼が笑う。その、笑い方があまりにやわらかで、優しげで。
どうしてそんな風に、嬉しそうに笑うのか?わからなかったけれど、その後落とされた唇が長く重なりあって。彼の呼吸を肌で感じるたびに体が火照った。
腰から、どんどん力が抜けていく。座位すら保てなくなって後ろへとぐらついた。ベッドへと倒れこむのを覚悟して反動に耐える為に身構える。しかし、それは杞憂に終わった。
彼の腕が、もとより背中を支えていたのだ。こうなることを予測していたかのように。がっしりとしたその腕は私が体重をかけてもピクリとも動かない。