第1章 あほの坂田(となりの坂田)
「ん、んぅ…ながぃ…ぁんっ、ん…ンッ」
射精をしている間、唇も離してはくれないらしい。一度、強引に離して空気を吸えたものの、再び彼の舌に犯される。
長く、じっくりと中に出されて、ようやく口も膣も解放された。
「俺、ほんと現金やなー」
体力がほとほとなくなり、坂田さんの体にもたれたまま動けない私に笑いながら話しかけた。不思議に思って顔を上げると、苦虫を噛み潰したような表情で彼は笑った。
「香澄が来る前まではな。結構落ち込んどったんよ?それが、顔みてエッチしたらこれやもんなぁ。ほんま、俺って単純やなーって思って」
それは、ひとえに元気になったということなのだろうか?自分は坂田さんを少しでも元気付けてあげられたのだろうか?
そうだったら、嬉しい。そんな気持ちがじんわりと広がって愛おしさから思わず彼の柔らかそうな頬に唇をおとした。
「ん?なに?もっかいしたいん?香澄もえっちやなぁ」
なぜ、ほっぺにキスをしただけでもう一回戦の合図とみなされてしまうのか?呆れた顔をしながら「でも、時間が…」と遠回しに断る。
「延長すればえぇやん。それともこの後予定あるん?」
「予定はないけど延長は駄目。料金が桁違いに高くなるんだよ?」
急な延長は嬢のその後の仕事に差し支える可能性がある。ということで、通常、延長料金は高く見積もっているものなのだ。
「そんな高くならんよ。だって俺、この前から香澄アレにしとるもん。なんやっけ?他の人の指名ができなくなるやつ」
「え!永久指名ってこと?」
確かにそれならば特典の一つとして延長料金の定価設定なども組み込まれている。しかし…。
「そうそう!それ!だから香澄はずっと俺専用やで……あれ?嫌だった?」
私の表情が段々曇るのを察して、坂田さんが不安そうに覗き込んだ。