第1章 あほの坂田(となりの坂田)
「やぁッ!いき、なり…こんなのっ」
「痛いん?」
「いた、くは…ないけど」
「じゃあえぇやん。ちょっと、甘えさせて」
「……ッ」
震える声で、弱々しくそう吐かれればもう何も言い返せなかった。思えば、今日は玄関先で一目見た時からこの人は覇気がなかった。
いつも、元気すぎるくらい楽しそうに笑って、悩みなんてなさそうな、のほほんとした雰囲気をまとっているのに。
沈む声。か細くて、消えそうなくらいの音量。
思わず、衝動的に。腰を上下に動かした。彼の熱にこすりつけるように。
飲み込んで、包んで、離さないように。
動く度に甘い刺激が体中を走る。とても耐えられなくて坂田さんの体にしがみつくように抱きしめた。それでも、腰の動きだけはやめなかった。
「あ…っんぁ。ひッ…あ、ぁん」
「……今日、どうしたん?ずいぶん、頑張るやん」
冷酷なほど、静かな、低い声。たぎるような瞳を持ちながらもどこか空虚な表情。
もっと、いつもみたいな顔をしてほしい。
どこか上の空な今の彼じゃなくて、獣丸出しで私だけを強欲に求めて欲しい。
絶頂を迎えて、膣の奥が絞り込むように縮まるのがわかる。感度が高まり、気怠さが体を覆い尽くす。
正直、休みたい。けど、止めるわけにはいかない。
イク度に内奥が痙攣をおこすのがわかる。それは挿れている彼にも伝わるようで、私が昇天に達するごとに甘く、吐息まじりに私の名前を呼んだ。
「…ッはぁ。香澄、またイッたん?めっちゃ締めつけるからもう俺もイキそうなんやけど」
切羽詰まった様子で坂田さんは私の着ているポロシャツをたくし上げる。荒っぽくブラジャーも一緒に上へとずらされれば、あらわになった乳頭に噛み付くように彼は咥えた。
「やッ…おっぱ、ぃ…舐めなぃでぇ…。あっ、ぁぁ…指で、ぃじるのもぉッ!だめぇ…」
「っふ。その割には、腰の動き激しくなっとるやん。気持ちえぇんやろ?」
悪戯っ子のような目で私を見定める。恥ずかしさに顔を背ければ、彼が手で強引に自分の方へと向けた。
「キスッしながらイきたい。香澄こっち、向いて」
焦ったように唇をかぶりつかれ、舌で口の中をまさぐられる。下から腰を思いきり突き上げられると、熱い液が流れ込むのを感じた。