第2章 センラ
なんとも癪に触る物言いをしながら鼻歌混じりの上機嫌でセンラさんが素早く全裸になった。そして、なぜか彼の息子が勃っている。それはもう全開に。どのタイミングでそんな思いっきり上向きにそそり勃ったというのか?
彼のいなくなった脱衣所で観念して自分ものそのそと服を脱ぎ始める。聞こえてくるシャワーの音。扉を開ければ、たちあがる白い蒸気。
湯気の向こう側にいる引き締まったガタイをみて、体がうずいた。自分もしっかりと欲情しているのだから、彼のことをとやかくいう資格などないのかもしれない。
これから、この人にどんなふうにさわられるのだろう?熱くたぎる気持ちを落ち着かせるために深呼吸をして、私は浴室へと足を踏み出した。
※※※
「痒いところはありませんかぁ〜?」
「ありません…けど…」
頭皮を心地良く刺激する指先の感覚を受けながら、私はなぜこうなったのか?と物思いにふける。
普通は、洗いっこするなら体ではないのか?その方が、お互いの色んなところをさわれるし。課長から借りたAVでも、確かそんなシーンがあったような気がするし。
しかし、彼がいの一番に洗いたがったのは頭だった。ドラッグストアにはまず、置いてなさそうな少しお高めなシャンプー。それをほどよく泡立て、たっぷりとシャワーの水を含ませた私の頭部へと揉み込む。
自分よりも広めのセンラさんの指の腹。それが絶妙な力加減で皮膚を指圧してくる。正直言って、とても気持ち良い。有名なサロンでマッサージでもしてもらっているような。思わずうとうととしてしまうほど。
強すぎない水圧、熱すぎない温度のシャワーが髪の毛を流す。私の髪を一通り洗い終えたセンラさんは満足そうに湯船に浸かった。どうやら、体は自分で洗えということらしい。
シャンプー同様、なにやらお高そうなおしゃれな容器に入るボディソープを使って体を洗う。高級なフレグランスを連想させる香りに身を包まれて、その良い匂いにうっとりと魅了されたまま私も湯船の中へと入った。