第2章 本丸での新生活ですよ。
その依織の暴走を眺めるこんのすけは、少し経ってから山姥切にこう告げた。
「山姥切さん、審神者どのはそろそろ燃料切れを起こすと思いますので…その時には介抱をお願いいたします」
「燃料切れ…?」
「審神者になる為の指導を受けていた頃からですが、あまり人に頼る事が得意ではないようで。
ヴィートさん…先ほど顕現の際に審神者どのと居た方にもその辺りを心配されていたのです。
わたくしも出来るだけサポートはいたしますが、今最も審神者どのの側にいて、助けて差し上げられるのは山姥切さんだけなんです」
困った表情のこんのすけを見て、今度は依織に目をやった。
彼女は端末を見ながらものすごい勢いで土を引っ掻き回している。
どうやら、誰かに頼ることが出来ない故に一人で力尽きるまで突き進む事しかできない不器用な主らしい。
(主を助けてやれるのは、俺だけ…か)
こんのすけの言葉を心の中で噛みしめ、山姥切も手伝う為に動き出そうとした矢先…
畑の真ん中でぱたり、と依織が倒れた。
「あああ、やっぱり燃料切れ起こしちゃいましたああああ」
頭を抱えるこんのすけと共に、急いで審神者に駆け寄る。
抱き起すと、彼女は鍬を握ったまま目を回していた。
「う、うね…うねを…つくる…」
うわごとのように言っている主に対し、思わずため息が出てしまう。
「俺は、ただの飾りか?…共に戦えと言ったのはあんただろう、なら頼ってくれ」
「まんば、くん…?」
薄らいでる意識の中で、山姥切がすごい嬉しいことを言ってるのが聴こえた。幻聴?
誰かが身体を支えてくれてる。
ようやく少しだけ目の焦点が合ってきて、見たのが至近距離で見る彼のご尊顔でした。
(うん。わかってたけど、ほんと綺麗な顔してるなぁ…)
やっぱ刀だからかな、美しいなと思いながら魂が抜けたかのようにぐったりと意識を失った。
「主っ…!」
「審神者どのー!」
しかし数秒後、弾かれた様にがばっと身を起こす依織。
その拍子に彼女の頭突きを顔面に食らう山姥切。
思わず顔を押さえる彼に対し、彼女は先程とは違って真剣な表情で何かを待っている様子だった。
「審神者どの、一体…!?」
問いかけようとしたこんのすけも異変に気づく。
と同時に開かれる通信モニター。
それは、時間遡行軍襲来の報せだった。