第2章 本丸での新生活ですよ。
日陰に移動した依織は開いた通信モニターから状況を確認していた。
彼女の肩に乗って同じようにこんのすけもそれを覗く。
「敵の動きがあったようですね、
連絡が来る前に気づくとはさすがです審神者どの」
「これチュートリアルでしょ?どう考えたって」
「…しれっとそんな事言わんでください」
こんのすけは、彼女のジャージの袖の中に何やら鈍く光る怪しいモノが隠されている事に気づいた。
「審神者どの…あちらでも説明があったと思いますが、実際にその時代に行くのは刀剣男士だけだと」
「え~、そうでしたっけ~?」
と、依織が袖からすっと出してきたのは棒状の小さな鉄の矢。しかも複数忍ばせている。
こんのすけは、まだ審神者研修生としての訓練をしている頃からの顔見知り。
それ故に彼女の性格は、一応知っている。
「貴女にもしもの事があれば、せっかく顕現した山姥切さんが人の姿を保てなくなっちゃうんですから」
そうだ!と依織は山姥切を見つめる。
突然見つめられて少し驚いた様子だったが、今の状況は何となく理解しているようだ。
「どうすればいい?」
さっきまで顔面に頭突きを食らって少し涙目で痛みに悶えてた彼とは思えない程の凛々しい顔つきだった。
しかし、依織は彼が何故そうなっていたのか理由を知らない。
「まんばくん、これから時間遡行軍が出現した時代に跳んで戦ってもらうことになる…本当は行きたいけど行っちゃ駄目っていうから…っ」
「…それが俺の役目なんだ、あんたはここに居てくれ」
「可能であれば私m」
「審神者どの、お急ぎを」
「わかってますぅっ…準備しないとね」
依織は一旦別れて時空転移の地へ向かう。
そこから各時代へと跳躍する。
詳細は不明だが跳躍の仕方は各本丸ごとに異なり、本丸の中にある場合や庭の真ん中だったり様々らしい。
彼女の本丸の場合は、本丸からやや少し離れた祭壇がそれだった。
辺りは木々に囲まれて、鳥のさえずりが聞こえる。
祭壇の真ん中に立ち、霊力を込めた右手を地面に振り下ろすとずっと蓄積されたような力の奔流が強い風となって辺りに吹き荒れる。
そして光が溢れ出すと、地面に何やら紋様のような線が出現した。
「ふう…いっちょあがり!」
そこへ準備を終えた山姥切とこんのすけがやって来る。