第2章 本丸での新生活ですよ。
「あ!審神者どの、お待ちしておりました」
本丸に辿り着いた一人と一振りに、声をかけてきたのは一匹の狐。
狐は「こんのすけ」という。本人曰くクダギツネらしい。
審神者のサポートで付いているのだけれど、さっきいなかったのはこっちに先回りしてたかららしい。
「きつね…?」
「こんのすけって言うの。私の補助をしてくれる、小さいけど有能な狐さんなんだよー」
「山姥切さんですね、よろしくお願いします」
ペコリとお辞儀をするこんのすけに、山姥切も反射的にペコりと返した。
「先ほど、ヴィートさんが置いて行かれたって泣いてましたよ。またどうせ邪険にしたんでしょう?」
「誰それ?」
反射的に依織はそう言ったが、先程審神者の役割うんぬんかんぬん説明してた男性の事を指しているのは知っていた。
時の政府の役人で、依織を審神者にスカウトした人物でもあった。
一般的にイケメンって言われる部類のルックスで、金髪碧眼の長身。
「そうそう、ヴィートっていう名前だった。ごめんごめん。本人には謝らないけど」
「なんか段々、あの方が可愛そうになってまいりました…」
「自分らは戦わないでふんぞり返ってるんだからいーのよ、気にしなくて。まあ、審神者も似たようなもんかぁ」
時の政府は審神者を派遣し、審神者は刀剣に人の身を与え、顕現した刀剣男士は歴史を守る為に戦う。
各審神者はそれぞれの場所に自分の本丸を持っていて、そこで刀剣男士と生活を共にしながら時間遡行軍と戦っている。
そして、自分も今日から本格的に審神者としての仕事を始めるわけで。
こんのすけと合流してからは、山姥切に本丸内と周辺の案内をした。
本丸は審神者の能力やイメージによって形成されているので個人差があるらしい。
大きかったり、西洋のお城だったりする審神者もいるかもしれない。
こちらの本丸は普通の和のお屋敷のような佇まい。
一部機械が混じってる箇所があり、そういうところは近未来チックに仕上がっていた。
本丸の特徴はまだまだあるものの、それはまた次の機会に。
「足りないものは万屋で買えばいいんだよね?」
「はい。ですが、基本的に本丸での生活は自給自足なので自分で食べるものを作って、自分で調理して食べます」
「えっ」
「えっ」
思わず出た言葉を同じように返してきたこんのすけにちょこっとイラっとした。
