第3章 運も実力のうち…だそうです。
場所は変わって、鍛刀部屋。
そこには不満そうな表情の依織と山姥切、そしてこんのすけがいた。
特にこの本丸の主である彼女は、現在女子と呼べないようなとてもガラの悪そうな表情を浮かべている。
「女子力ってなぁに~?そんなんハナから持ってないっての」
「誰と話してるんですか審神者どの…」
「でっかい独り言」
大きくため息をつくと、依織は懐からお札を取り出す。
依頼札、と呼ばれるそれは鍛刀に必要なアイテムである。
激しい論争(?)の果てに、結局こんのすけが監視する形で鍛刀を行うことになってしまった。
「増やすのまだ早いと思ったんだけどなぁ…」
「いえ、三ヶ月は遅すぎるぐらいです。普通ならもう一部隊は出来ててもおかしくない日数ですよ」
「う~ん…」
そう言われても、納得がいかなかった。
鍛刀を忘れていたわけではない。
ただ、まだするべきではないと考えていた。
ちらりと山姥切の方を見ると、彼は鍛刀に必要な資材を持って待ってくれている。
「…大丈夫か?」
と、山姥切が声を掛けてくれた。
普段の様子とは異なることに気づき、心配してくれているようだ。
思わず困ったような笑みを返してしまう。
ここ三ヶ月の間に彼も練度を上げ、本丸ただ一振りの刀として公私共に依織を助けてくれている。
それでもやはり一振りでは刀装がついているとしても限界があった。
以前、新たな戦場への出陣要請があったので送り出したのだが、思った以上の敵勢力の数に苦戦し、辛くも勝利したものの相当な深手を負わせてしまったことがあった。
その時にも鍛刀をしていないことには気づいていた。
けれど次の刀剣を呼び起こす自信が無かった。
『刀剣男士は、審神者の力によってその姿を保っている』
そう教わった。
個人差はあるが、多くの刀剣男士を顕現させたとしても、その姿を維持するにはそれだけの力が必要になるということらしい。
しかし、依織にはその自信が無かった。
当初から他の同期の追随を許さない程の霊力容量を持ち合わせ、瞬時に術式を組み上げて力を放つ、霊力を何かに込めて発動させると言った割とバイオレンスな使い方には長けていたが、結界などを用いて守るといった補助系はてんで苦手なタイプだった。
故に手入れも得意ではなく、修復にはどうしても時間がかかっていた。
