第3章 運も実力のうち…だそうです。
そう指摘された依織は、少しの間をおいた後に軽く舌打ちする。
「…バレたか」
「バレますよ!多くの審神者がいるとはいえ、政府も一人一人の記録はきちんと確認しています。特に新人審神者なら尚更です」
「ちゃんと出陣はしてるからいーじゃん」
「確かにしてますけど、回数はそこまで多くありませんね。それに…審神者どの、あなたはまだ【ちゅうとりある】を全てこなしているとは言えません」
と、こんのすけがデータを確認している間にも刀装たちがてけてけと忙しなく畑の中に入り作業していた。
それに気づくと、こんのすけがぷるぷると震えだす。
「そもそも、刀装を畑仕事に使う審神者なんてわたくし見たことありません。本来彼らは刀剣男士の戦闘を手助けする役割なのに…」
「ちょっと説明してできる?って聞いたら、割とすんなりやってくれたからそんなもんなんだと思ってたけど?馬当番もやってくれてるからすごい助かってるんだ♪」
「平和的な扱い方ですが、間違ってます審神者どの…」
大きくため息をつくこんのすけ。
「いいですか?こちらで定めているちゅうとりあるは、鍛刀して新たな刀剣男士を迎える、刀装を作成し刀剣男士に組み込み討伐部隊を編成、時代に跳び時間遡行軍と戦闘。傷ついたら手入れを行う…これが一連の流れです」
「ほとんど出来てるよ」
「鍛刀だけ出来てません。実際あなたの本丸にはまだ山姥切さんしかいませんからね」
「戦力足りないってんなら私が―」
「あー言えばこう言うところは研修時代と変わらないですね、審神者どのはー!」
再び甲高い声でこんのすけが叫ぶと、依織はすかさず山姥切の後ろに隠れる。
山姥切はきょとんとしている。
「山姥切さんだけでは、今後の戦闘も厳しくなります。刀剣男士を増やして本丸強化に努めないとそれこそ歴史を守ることは…」
「……それは、俺が写しだからか」
落ち込む山姥切に、依織がよしよしと頭を撫でる。
「写しとか関係ないって言ってるじゃーん。まんばくんがいてくれたから本丸はこんなに立派な畑が出来てるし!私のハーヴェスト王への道は更に近くなってるし」
「それ審神者の仕事じゃないですよ、目を覚ましてください」
「起きてるわ!バッチリ目ェ覚めてるわ見てみぃ!!」
不毛な言い合いは、この後10分近く続いたという。