第3章 運も実力のうち…だそうです。
昨日とは違い、二人で協力しながら作業を分担したおかげで畑の畝を完成させることが出来た。
途中依織はまた死にかけたが、山姥切がその分を補う。
さすが刀剣男士、普通の人間を遥かに超える体力でどんどん畝を増やしていってくれた。
「フッ…やるな。私も負けていらr」
「あんたさっき転んで土に顔が埋まっていただろう。土まみれだから落として来るといい」
「……そうします」
程々に休みを入れながら、次は馬小屋に行って馬に改めてご挨拶。
馬の手入れや馬小屋の掃除を行う。
今いるのは一頭で、青みがかった黒毛の大分穏やかな馬だった。
「綺麗になったねー、ぜっちゃん!」
「ぜっちゃん?」
「この子の名前。戦闘の時にも乗って行けるからよろしくね~って」
「そうか…よろしくな」
馬の返事なのかはわからないが、その後山姥切は自身の布を食われるという珍事に遭った。
お昼は昨日の教訓を糧に、無難なおにぎりを握って出した。
「…甘いな」
「甘い?…えっ」
依織もぱくりと一口食べると、異常に甘い。
塩と砂糖を間違えたようだ。
ここでも痛恨のミスをしてしまい、その場でくずおれる。
(あれっ…私昨日からまともなご飯食べさせてあげてないぞ!?これはいかんぞ!!)
このままでは、付喪神である彼にこれらが人間が食する物なのだと思われてしまう。
人間味覚オカシイ。とかになったらそれはダメだ!いくらなんでも!
「…よろずや、万屋に行こうまんばくん!!このままではおかしくなってしまう!!」
「お、落ち着いてくれ、わかったから」
極限状態すぎて血走った目で必死に山姥切の肩を揺らしていたらしい。
我に返った依織は少しの間を置き、無言で少しよれてしまった彼の布を丁寧に整えてあげると、何事もなかったかのようにとびっきりのウインクを投げて促しつつ揃って万屋へ向かった。