第3章 運も実力のうち…だそうです。
翌朝、鳥の声で目を覚ます。
まだ頭がボーっとしていたが、寝返りを打った視線の先に映った山姥切の寝顔に一気に覚醒した。
「…かわいい…」
普段はあんまり表情が変わる事は無いが、今はあどけない寝顔を晒している。
これは貴重なのかもしれない。
そしてとにかく顔がいい。
この状況に依織はハッと顔を上げる。
(もしやこれが俗にいう…朝チュンというやつなのか!?)
しかし、頭を振る。
「いや、多分違うかな…詳しくないけどきっと違う」
「ん…んん…」
と、ぶつぶつ言っているのが耳に入ったのか山姥切がもぞもぞと動き始めるとうっすらと目を開けた。
「…主?」
「はい、主です。おはようまんばくん」
ゆっくり起き上がると、山姥切はボーっとした顔でじっと依織を見つめている。
「私、なんか変?」
「…昨日そんな頭だったか?」
その言葉の意味を少ししてから知った。
鏡が無かったので自分の頭を触ってみると…所々の髪が浮いてる。
どうやら盛大に寝グセがついてしまったようだ。
「寝てる間に動いてると、こうなるんですよ~」
「寝てても動いてたのかあんた。少しは落ち着いてくれ」
「寝ててよく動く人は逆に健康的なんだよ?…確か」
さっきまでの可愛らしい寝顔とは打って変わり、今はすっかり不思議な生き物を見るかのように自分の主を見つめている山姥切。
多分これが彼の通常運転らしい。
しかし、依織はそんな事は気にも留めず、立ち上がると布団を片付ける。
「よし、今日は畑を何とかしよう!昨日ちゃんと出来なかったからね。張り切っていきまっしょい!」
「その頭で行くのか?」
「さすがに直すっ。少し準備してから行くから、まんばくんも準備出来たら先に行っててー」
「わかった」
返事を背に受けながら、依織は審神者部屋へと向かう。
「あれ?そういえば私なぁんか忘れてる気がするな…なんだっけかな」
そこそこ大事な事をしていない気がしたのだが…。
「うん、まあそのうち思い出すでしょ!畑整えて、本丸のハーヴェストマスターを目指すんだからっ♪」
思い出せないということは、きっと大したことじゃない。
そう思い、依織は畑仕事の準備に取り掛かるのであった。