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刀剣乱舞 常勝の君異聞録 第一本丸編

第1章 はじめの一歩はここからでした。


「ソウデシタネ。…少し不安だなァ」

「ナニカ?」

「イイエナンデモ。では、ここにある五振りの刀から一振りだけ選んで顕現させてクダサイ。それから本丸での業務を開始します。よろしいデスカ?」

目の前には刀が五振り並んで置いてあった。
打刀と呼ばれる日本刀の中では一般的な刀だ。
それより刀身が長いものは大太刀や太刀、短いものは脇差、短刀と呼ばれている。

ふと、何かに惹かれるように少女は歩き出し、無意識に手にした一振りを愛おしげに丁寧な手つきで撫でる。
その表情は穏やかで、言葉にはしてないものの何かを語りかけているかのようにも見えた。

「その刀をご存じなんデスカ?」

「いえ全然っ!武器って基本みんなカワイイし、カッコイイし、キレイじゃない?それぞれどういう目的で創られたのかもしっかりしてるし…もう総合的に、ス・テ・キ♡」

先程の表情は何処へやら…その顔はニヤけにニヤけて女子力皆無状態。
男性はおそらくさっきのは幻覚でも観たのだろうと、肩を竦めた。

「ああ、ソウデシタ。貴女は武器知識が豊富ですが、細かい名前や作られた場所などにはアマリ興味がありませんでしたネ」

そう言われているのを軽やかに無視しながら刀を目の前に置くと、目を閉じて視界を断ち心の中で呪文を組み上げる。
そして想いを込めて、こう告げた。


「おいでませ!初期刀さん!!!」


雑に顕現するな、と呆れられているのに気づいたが特に口出しはされなかった。
こちらの呼びかけに応えるかのように眩い光で視界を奪われたが、これは顕現された証。

光が薄れていき、ようやく視界が開けてきた。
桜吹雪をまとって現れたのは、白い布をかぶった青年。
布から覗く青がかった薄緑の瞳がこちらの姿を見つけると、ぽつりと声を発する。


「…山姥切国広(やまんばぎりくにひろ)だ」


それはさっき選んだ刀の名前。
彼が今、審神者の力によって人の姿で顕現した刀剣男士である。
その姿にとくん、と心が動いた気がした。
しかし、それよりも―

「武器が人になった!これすごいね!
自分でやったと思うとびっくりしちゃうわ!!
私は彩乃依織っていうの、よろしくねっ」

初めて顕現させた事に少女は感激し、彼を両手を取ってブンブンと雑な握手をし、思わず嘗め回すように彼を見ていると、山姥切は少し居心地が悪そうにしている。
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