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刀剣乱舞 常勝の君異聞録 第一本丸編

第2章 本丸での新生活ですよ。


風呂場から出ると、一緒に部屋までの道を歩いていく。
依織の部屋は仕事部屋と寝室に分かれていて、近侍である山姥切の部屋はその隣に位置している。
彼の部屋に入って、布団を敷いてあげた。
脱衣所ですでに寝間着に着替えていたので、あとは寝るだけ。

「…寝るときくらいは布外そう?取らないから」

彼は渋々布を取ると、畳んで枕元に置いた。
布を取り払った山姥切の、イケメンが発する光が眩しすぎてサングラスを所望したいくらいだった。
けれどそんな事を言うとおそらくヘソを曲げて外した布を被って寝そうなので言うのはやめておこう。

「では念願の、ぽかぽか状態でのお布団へ~」

「あんたは、一人で大丈夫か?」

「え?」

「隣の部屋とはいえ…一人でいるのは心細くないのか?」

…気遣われてる?
確かに今二人で住むには広すぎる本丸だから、一人寝の夜は心細くないと言われれば嘘になるかもしれない。
しかし、一応は主なのであまり弱音を吐くわけにはいかない。

「だーいじょうぶ。本丸の主が心細いなんて言ってたら仕えてる方は不安でしょー?」

ニカっと笑う依織をしばらくじっと見つめていた山姥切だったが、少しだけ俯くと口を開いてぼそりと言う。

「…今日は、ここで寝てくれないか」

「はひぃ!?」

声が裏返った。

「俺は、まだ寝る行為に…慣れていない…から。あんたが一緒にいてくれると…嫌ならいいんだが」

「そっかじゃあそうしようかちょっとまってねお布団持ってくるからね!」

早口でまくし立て、弾かれるように部屋を出て行く依織。
それを見届けた山姥切は、一つため息をついた。


「…こうでも言わないと、あんたは強がって我慢するだろうからな…」


今朝こんのすけから依織の話を聴き、そして今日一日の行動を目にし、自分が彼女を助けなければという使命感に目覚め始めていた。
危なっかしくて一人で暴走したりはするが、人の体に慣れていない自分を、時として失敗しながらも人としての営みを教えてくれる不器用ながらも優しい主。
けれど、誰かから与えられるぬくもりや優しさには慣れていない。

「せめて、俺が主が頼れる存在になれれば…だが写しの俺なんかに、できるのだろうか…」

頭を抱え始めた山姥切であった。
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