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刀剣乱舞 常勝の君異聞録 第一本丸編

第2章 本丸での新生活ですよ。


事件は脱衣所で起きてなかった、浴室で起きてしまった。

「わからなかったら、言って…?」

「…すまない」

場所は男湯の浴室。
現在、審神者は初期刀の背中を流してあげています。



数分前、体を洗って湯船に浸かっていた依織はふと違和感に気づく。

男湯から全く物音や水音がしない。

浴室はよくある銭湯のような造りをしているので、お湯や風呂桶を使っていれば反響してよく響くはず。
しかし、そういう音とは違って何かぼそぼそ言っているのが聴こえた。

「…これを使えばいいのか…しかしこれは、なんだ…?」

この本丸はまだ、依織と山姥切しかいない。
さっき誕生した刀装たちは、彼ら独自の部屋がある為ここには来ない。
山姥切の声が聴こえていたので、ちゃんと浴室にいるんだと確認すると湯船のちょうどいい温度に思わず瞼が重くなる。

(あ…こりゃ疲れてるな…)

眠りに落ちる十秒前、事件は起こった。

「な、なんだ…っ、滑って……うわわっ」

直後、何かが倒れる音を耳にして依織は覚醒する。

「なになに?どしたのー!?」

大きな声で呼びかけるが、返事が無い。
湯船から上がり急いでタオルを体に巻き付けると、裏手から男湯に突入する。

「どうしたのまんばくん!?…ぁ」

見ると、目を回して倒れている初期刀の姿を発見。
敵襲でも来たかと一瞬思ったが、足元に転がる白い物体を目にしてすぐに状況を把握した。

彼は…石鹸で足を滑らせて倒れたようだ。

「う…うう…」

「だいじょぶ?どうしてこうなった…?」

起こして事情を聴くと、体を洗おうにも何を使ってどうしたらいいのかわからず、やっと見つけた石鹸を持ち出したら手から滑り落ち、取りに行く拍子にそれで足を滑らせたそうな。

(そりゃ刀の時はお風呂なんて行かないからわからないか…)

最後まで面倒見ないとダメだと、お風呂の入り方をレクチャーすることになって現在に至る。

体を洗い方を教えつつ背中を流してあげて、一旦山姥切には壁の方へ向いてもらいながら、手早く自分の体を洗うと一緒に湯船に浸る。
もちろん、混浴状態なので体にタオルを巻きつけたままだ。

「…気持ちいいな」

「でしょー?でも湯船で寝ちゃダメだよ?溺れちゃうから」

心行くまでゆったりと風呂を堪能した依織と山姥切だった。
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