第2章 本丸での新生活ですよ。
「人間の食べる飯は、鉄の味がするんだな」
「返す言葉もゴザイマセン」
自給自足でご飯も自分で作るんだったと思い出した依織は、その時点で全てを諦めた。
審神者としての能力は優秀な依織だったが、料理の腕は皆無。
過去には米を洗剤で洗うベタなミスをし、味付けのチョイスや材料は忘れたが初めて作ったサンドイッチを試食した際、この世の食物とは思えぬ味に秒で逆噴射を起こした。
そんな人間が、誰かに料理を教えるなどできるわけがない。
ちなみに今回作ったのは、チャーハン…だったもの。
見た目は黒く具材らしきものは各所に見えていたがあまり原形をとどめていない。
とにかく黒一色。
しかし、今回は頑張った方だった。
「…私の料理を食べた者は、大体が顔面蒼白で口からキラキラ加工された大瀑布を見せるから…今回の被害は軽微…」
食後(口直し)のお茶を飲みながら、すまし顔で言ってみせたが、言っていることがわからないという様子で首を傾げる山姥切の姿に罪悪感を覚え、ジャンピング土下座。
「ホントすみませんでした!ちゃんと今度は…今度は薄口の鉄の味を目指すからっ!」
「薄口…?」
「はぁ…せめてマトモなの一品でも作れればよかったな。ごめん、上手くできなくて」
少し肩を落とすと、何だかどっと疲れがやって来る。
壁にかかっていた時計に目をやると、もう陽が暮れて大分経っていた。
そういえば今日はほぼ一日動きっぱなしだったので、疲れるのも当然のはずだった。
「お風呂行くかぁ…」
依織が立ち上がると、山姥切が不思議そうにしている。
そういえば…
「まんばくん…お風呂に入るのはわかるよね?」
「俺は汚れているくらいg」
「ダメに決まってんでしょーがー!ほら、行くよー」
「そ、そんなに引っ張るな!」
山姥切の布を引っ張って無理やり立たせると、そのまま風呂場へ連れて行く。
風呂場は見事に、女湯と男湯に分かれている。
「まんばくんはあっち、私はこっち。…ちゃんと温まって来てね?」
「俺は別にこのままでも…」
「手入れで傷は直せても、疲れは取ってあげられないからね。それに、ポカポカした体で寝るお布団は最高なんだから!ハイ行った行った♪」
「お、おい…」
男湯に押し込んで渋々入っていくのを確認すると、自身もお風呂に入る為に女湯へ入って行った。
