第2章 本丸での新生活ですよ。
「…俺が写しだからか」
「それ関係ないからっ。今のは私のせい!そう、私がやっちまっただけっ」
しょんぼりしている山姥切に対して必死にそう言う。
まさか自分の手に触れてくるとは思わなかった依織は、驚いて変な声を上げた結果、調節を誤り玉は吹き飛んで消えた。
「刀装ちゃん…ほんとごめん」
行おうとしていたのは、刀装の作成。
本来なら近侍が一人で行うものだが、初回だったのでまずはお手本を見せる為に実践してみたのだ。
「やっぱ刀剣男士が実際にやった方が成功しやすいのかな?」
「なら今度は俺ひとりでやってみよう」
「じゃあ大声で応援する」
「いや、大人しくしていてくれると助かる」
「あ、はい」
先程と同じように玉に力を注いでいる山姥切。
これで失敗したら、もっと落ち込みそうですごい心配。
(上手く成功しますように…!)
手を合わせ、目を閉じてそう祈る。
すると…
「……ん”っ!?」
広い部屋の密度が少し上がった感覚がしたので、目を開けてみる。
そこには、小さな兵装の小人たちがてけてけと周辺を歩いていた。
山姥切の頭の上にも一体いる。
「これでいい、のか…?」
彼の持っている玉の色は見事な黄金色。
刀装は色の種類で強さや数が変わるのだが、黄金色は特上と言われているので大成功したらしい。
それにしては数が多い気がした。
ふと、神棚の三方を見てみるとそこに置いてあった玉も全てが同じ黄金に輝いている。
超大成功と言っていい結果になった。
「すごい!まんばくんやったじゃーん!」
依織は山姥切に抱き着くと、パッと顔を上げる。
「ほら、写しとか関係ないよ!まんばくんはまんばくんでしょ!」
「いや、あんたの力が流れ込んだからで…っ、その…あまりくっつかないでくれ」
「あ…ごめ!嬉しくてつい…!」
慌てて抱擁を解く。
山姥切は顔を逸らしているが、少し顔が赤くなっているようだ。
けれど依織も刀とはいい、異性に抱きついてしまった自分に戸惑いを隠せなかった。
(男の人に抱き着くなんて今まで無かったのに…)
鼓動が激しい。顔が熱い気がした。
何となく顔を見せづらいなと思った瞬間、それは訪れた。
ぐきゅるるる
音は互いの腹から響き、顔を見合す。
「ご飯、いこっか」
依織は照れ笑いを浮かべながら言った。