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刀剣乱舞 常勝の君異聞録 第一本丸編

第2章 本丸での新生活ですよ。



「…っ」

時代へ跳んで早々、山姥切国広とこんのすけは敵に囲まれてしまう。
こんのすけが持っていたデータよりも敵の数が多かった。
応戦して相手にも傷は負わせているが、多勢に無勢。

「どどど、どうしてこんなことに…ここは【ちゅうとりある】と言われている場所のはずですのに!」

慌てすぎて堂々と口を滑らすこんのすけ。
対して山姥切は肩で息をしながら、傷だらけの身体で時間遡行軍と対峙している。

「山姥切さん、このままだと…」

「…ああ。主がこっちまで来てしまうな」

「ええっ!?いや、確かにそれも考え得ることですけど!」

それよりも、この状況で冗談なのか本気なのかわからない事を言う山姥切に驚いていた。

「主が来てしまうのは避けたい…だがこのまま退くのは」

すると、頭の中で声が響く。

『お守りを握って…!』

その声は、依織のものだった。
山姥切は出陣前に彼女が言っていたことを思い出した。


『―何かあった時は、これをぎゅっと握ってみて』


「それが、今というわけか」

懐に入れていたお守りを取り出し、言われていた通りに握る。
すると中で小さな何かが割れた音がしたのを耳にし、途端に不思議と力が溢れてきた。

「な…っ、これは…」

気のせいなのかどうかは試してみるべきかと、敵へ斬りかかる為に地を蹴った。


思った以上に…体が軽く、そして―


…一閃だけで敵を斬り捨てていた。
その手応えに驚きながらも、流れに乗って山姥切は更に斬撃を繰り出していく。

勝負はものの数分で片が着いた。


ぽかんと呆気にとられていたこんのすけだったが、我に返ると山姥切に駆け寄る。

「驚きましたよ、山姥切さん!一体何が起こったんですか?」

「主がくれたお守りを握ったら、突然力が湧いてきて…」

山姥切の手の中にあったお守りは強く握ったせいでくしゃりとなってしまっていた。
先程のような湧き上がる力は、消え失せていた。
それに気づいた瞬間に今度は体中の力が無くなっていき、立っている事が出来なくなってしまう。

「山姥切さん!!」

声をかけるこんのすけに答えたくても声すら発せない。

(何だこれは…体が重い…)

段々と瞼が重たくなり、視界が暗転していく。

「まんばくん」

(主…)

薄れゆく意識の中で、彼女の声が聴こえたような気がした。
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