第2章 本丸での新生活ですよ。
本丸内に戻った依織は自分の部屋に入るとそのまま床に大の字に倒れる。
「う~~っ…さっきの畑仕事の余韻が…」
まだ少し眩暈のような症状が残っていた。
布団を敷くのも億劫で、ちょっとだけ休もうかと目を閉じたのだが眠れずに何度も寝返りを打つ。
そして諦めて起き上がる。
「うん、無理ですね!潔く起きてようか!!」
机に向かうと薄型のPCにカタカタを何かを打ち込む。
そして勢いよく、キーボードを叩いてホッと一息。
「はい、これで政府への報告は終わりっと…」
次は部屋にあった大きなスクリーンモニタに視線を移すとヴン、という音と共に日本地図が映し出される。
そこから北の方角…場所は函館をズームインする。
今、山姥切がいる地域である。
目を細めていき、更に場所が絞られると同時にその地域の敵の規模や分布等の情報が次々と表示される。
審神者の目の動きによって自在に操作するタイプのようだ。
「んー、やっぱここはそこまで多いわけじゃないんだ。けど定期的に送られてきてはいるから対処は必要か」
確認しながら、次は実際に戦闘の様子を見るために瞳を動かす。
そこでは既に戦闘は始まっていたのだが―
「……そうきたか」
依織は表情を歪ませた。
その視線の先には、傷だらけの初期刀とそれを心配するこんのすけの姿が映し出されていた。
彼らの目の前にいる敵、時間遡行軍の姿は研修時にデータで観たことがある。
人の姿と異なり、妖怪のようなその形状からすると短刀や脇差の類。
刀剣男士と同じく、武器からあのような姿に顕現されたのか。
歴史修正主義者の正体についてはあまり教えてもらっていない。
ただ、正しい歴史を守る為には排除しなければならない敵…としか教わらなかった。
おそらく時の政府も何か腹に抱えているのだろうと思いつつ、それどころではないと依織は憤慨する。
「データと実際の敵の数が合いませんが!?」
政府からのデータよりも明らかに相手にしている敵の数が多い。
一振りの刀剣男士に対し、向こうは四体の時間遡行軍。
「誰だよチュートリアルとか言ったのおお!!?」
と、頭を抱えたが…自分だと気づき我に返るとすぐにモニタに視線を戻す。
「アレを発動することに…まんばくん、大丈夫かな…」
むむ、と唸りながら依織は猛スピードで出て行った。