第2章 本丸での新生活ですよ。
「お待たせいたしました。準備はできましたでしょうか?」
「今終わったトコ。これでいつでも時代跳躍は可能になったはずだよ」
先程行ったのは、時間跳躍の空間のゲートを開くための下準備。
審神者の霊力を祭壇に注ぐことにより、ここから自由に時代を行き来できるようになる。
と言っても、出陣の時以外には勝手に行かないように特殊な結界を張っている。
これも各本丸によっては仕様が異なるらしいので、あくまで依織の本丸の中ではこれである。
「審神者どの、再三申し上げるようですが決して―」
「わかってるっ、刻を廻るのは刀剣男士のみ…耳タコだって」
少し心配そうにするこんのすけに、手をひらひらさせて答えた。
そして、山姥切に目を向ける。
「これから行ってもらう場所は、敵が多いわけじゃないんだけど怪我はしちゃうと思うの…まだ人の身体にも慣れてないだろうから、無理はしないでね?」
「わかった」
「大怪我したら洗うから」
少し身構えるような態勢を取った山姥切に対して、依織はからからと笑う。
「だから、ちゃんと帰って来てね?…ここには、私一人ぼっちだしまんばくん居てくれないと寂しくて…っ」
「主…」
「戦場まで殴り込みに行くかもしれない…!」
やり兼ねない気がする。
瞬時にそう思ってしまった山姥切だった。
それはこんのすけも同じなようで。
「審神者どのー!」
「はいはい。じゃあこんのすけ、向こうでのナビゲートよろしくね」
「はい、お任せください。山姥切さんの初陣ですし、しっかりサポートさせていただきます!」
「あ、あとまんばくん。これ…」
依織は山姥切にお守りを手渡す。
「おや、いつの間にそれを?」
「あー、正規のじゃないんだ。【ちょっとしたおまじない】を施してみたんだけど…何かあった時は、これをぎゅっと握ってみて」
「握ればいいのか。わかった」
「私は一応、様子を見ることができるから状況によっては指示飛ばすかもしれないので聞き逃さないでね。では張り切って行ってみましょう!!」
大きく手を広げた依織に応じるかのように地面の紋様が光り出し、山姥切とこんのすけを包むと一瞬にしてその場から姿を消した。
「…さすが自分の本丸。割と好きな様にできるんだなぁ」
納得するように頷くと、依織は本丸に戻って行った。