それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第7章 核心には届かない
「当事者のリドルからは聞きにくいだろう。
俺から質問させてもらってもいいかい?」
でた甘やかし、なんて小さくエースが呟いたがスノーは笑みを崩さずにどうぞ、とトレイをうながした。
「単刀直入に聞かせてもらう。
なぜあの時学園長が他の先生方ではなくお前を呼んだのかだ。
さっき学園長にも聞いたんだけどな。
お前に聞けと言われてな。」
スノーは笑みを崩さずに、背後のクロウリーに苛立ちを覚えた。
丸投げしやがって、と。
「そうですね…
それが私の仕事だからですよ。」
冷静に答えれば何も問題は無いはずだ。
スノーはそう自分自身に言い聞かせながら、言葉を選ぶ。
「私はこの世界に無一文で来たので、学園から仕事をもらってるんです。
ローズハート先輩は私が夜に仕事に出ているのを知ってるかと思いますが…
私の仕事はオーバーブロットの対応や戦闘が見込まれる場面での護衛です。
元々魔法戦争中の世界から来てますから、あのくらいはできるんです。」
「そういえば、ドワーフ鉱山の時もスノーが化け物をやっつけてくれたんだゾ!
スノーは強いんだゾ!」
思い出したかのように叫ぶグリムの言葉に、デュースがあの時を思い出しながらポツリと呟く。
「そういえば…あの黒い化け物をスノー先輩は一撃で…」
その呟きはとても小さな声だったが、よく響いた。
トレイとケイトが目を大きく見開いた。
あぁ…オーバーブロットの成れの果ては3年生になれば授業で習うんだったな、とスノーは困ったように微笑んだ。
2人は理解してしまったのだ。
スノーの仕事がなんなのかを。
「スノーちゃん…」
「ダイヤモンド先輩。
1.2年生の前ですよ。」
物言いたげなケイトをスノーは笑顔で制する。
彼らはまだ知らなくていい。
その時が来るまで知らなくていいのだ。