それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第7章 核心には届かない
「オーバーブロットとは…」
昼休みに学園長室にダラダラと向えば、扉の向こうからクロウリーの声がする。
そっと中の様子をうかがえば、そこには昨日のリドルオーバーブロット事件の当事者達が勢揃いしていた。
報告書だけをササッと渡して帰りたいスノーとしては、あまり嬉しくない状況だ。
とはいえ、すぐに話が終わりそうな雰囲気ではない。
スノーは小さくため息をつくと、目の前の扉をノックした。
「ごきげんよう、学園長。
報告書をお持ちしました。」
リドルと目が合うが、あえてそれをスルーしてクロウリーの元へと足をすすめる。
「スノーくん、ご苦労さまです。
今ちょうど昨日の話をしていたんですよ。」
「あら、そうなんですね。」
報告書を受け取ったクロウリーはニコリと微笑みながら、それをパラパラと捲る。
「すぐに目を通してしまいますから、皆さんで歓談でもしていてください。」
スノーは一瞬眉間に皺を寄せた。
彼らが聞きたいことがあるだろうから、答えてあげなさい
学園長はそう言いたいのだ。
確かにクロウリーになんでもベラベラと喋られるのはよろしくない。
どこまで何を話すかは自分でコントロールをしておきたい所だ。
とはいえ、もう少しほとぼりが冷めてからがよかった。
どうせ質問攻めにあったクロウリーが丸投げしてきた流れに違いない。
「スノー…」
リドルが遠慮がちにスノーの名前を呼んだ。
「ごきげんよう、ローズハート先輩。
無事に回復されたようで何よりです。」
ニコリと微笑みながら振り向けば、不安で揺れる瞳が目についた。
それでも寮生の前だからか、彼は1度グッと拳を握るといつもの強い女王を演じるのだ。
「昨日は迷惑をかけたね。
昨日の事でいくつか聞きたいんだけど…いいかな?」
「答えられる範囲であれば大丈夫ですよ。」