それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第7章 核心には届かない
「どういうことだい?」
リドルが不思議そうな顔でケイトとトレイの顔を交互に見る。
「んー、けーくん的にわかりやすく説明すると…
スノーちゃんはすごーく強くて、危ないお仕事も任されてるってことかな!」
「元の世界での暮らしを考えたら、全然危なくないですけどね」
スノーが言葉を制した意図を理解したケイトが、うまく誤魔化した。
みんながいる前で聞く話じゃなかった、と言わんばかりにトレイが申し訳無さそうな視線を送ってくるので、スノーは困ったように笑みを返すしかない。
「カッケー!
スノー先輩超かっけーじゃん!
美人で強いとか完璧じゃん!」
「さすがスノー先輩だ…!」
知らないというのはとても素敵な事だ、とスノーは思った。
無邪気に自分を褒めるエースとデュースは、世界の汚い部分を知らない。
それでいい
いつか知ってしまうその時まではそのままでいればいい
2人が笑顔ではしゃいでいる姿を見ていると、なにやら微笑ましく思えた。
もうこちらの話はそっちのけで、俺らも強くなろーぜ!なんて盛り上がる1年生達は実に可愛らしい。
「スノー…
僕…知らなかった…」
リドルが立ち尽くしたまま呟いた。
「僕… スノーが夜中に仕事に行ってるのは知ってた
でも、そんな大変な仕事だなんて知らなかった…」
「人にベラベラと言う話でもないですからね。」
キュッと唇を噛み締め、リドルは真っ直ぐにスノーを見つめた。
自分は大切な友人のことを何も知らなかったのだ、と思い知らされた気分だった。
常日頃から、自分がオーバーブロットした時のように戦うのが彼女の仕事ならば、どれだけ大変な仕事をこなしていたのだろう、どれだけ辛かったのだろう。
誰にも言わずに、愚痴を吐くことも弱音を吐くこともなく。
そう考えると胸がギュッと締め付けられるようだった。