それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第8章 弱者は仕込む
食堂ではランチタイムを迎え、多くの学生で賑わいの真っ只中。
オンボロ寮の監督生ユウは、パスタをクルクルとフォークに巻き付けながらため息をついた。
「どうした?」
向かいに陣取ったデュースがガツガツとハンバーグを頬に詰め込みながら、何度目かのため息にようやく反応を示す。
「実は…朝…」
普段は飄々としているスノーが、見るからに具合の悪そうな様子だったことをポツリポツリと話せば、神妙な面持ちでデュースが相づちをうつ。
「スノー先輩がそこまで具合が悪くなるとは…
女性は大変だな」
「そうなんだよ。
あともう1つ問題が…」
これ見て?とユウが取り出したのは、どこにでもありそうなファイルだった。
「ぶつかった時に、間違えてスノー先輩のファイルまで持ってきちゃったんだけど…」
そう彼が言うが早いか、そのファイルはカタカタと動き出す。
「これ、噛み付いてくるんだよね…」
ファイルの開く部分が、まるで意志を持っているかのようにカチカチとその合わせ目を鳴らす。
よく見れば鋭い歯が並んだその部分に噛まれれば、無事では済まなさそうな勢いだ。
ギョッとした目でデュースがそれを凝視する。
「なっ…!?」
「おぉ…珍しい物を持っておるな」
そんなデュースの肩の上から、ひょっこりと顔を出す神出鬼没なリリアに再びデュースはギョッとするが、それも致し方あるまい。
「リリア先輩…」
「ふむ…中身を見られんように魔法がかけてある…
実に面白い。」
ズッと身を乗り出してファイルに近づいたリリアの鼻先寸前で、カチンと鋭い歯が音を鳴らす。
「余程見られたくないのじゃな」
ケラケラと笑いながら悪戯に目を輝かせたリリアはその獰猛なファイルをジーッと見つめた。
隠されれば暴きたくなる、というものだ。