それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第6章 赤の王がその名を汚す
姿くらましでハーツラビュルへとむかえば、そこは酷い荒れようだった。
異様なまでに伸びた薔薇のツルに、切り裂くような鋭い風。
その場に足を踏み入れてようやく、スノーはリドルがオーバーブロットしたという事実を受け止めた。
キュッと髪を結い上げ、杖を握りしめる。
箒に跨り地を蹴る足は、力強かった。
狂ったようにエース達に襲いかかるリドルを見つけるのに、そう時間はかからなかった。
「プロテゴ・マキシマ(最大の防御)」
まずは防戦一方の彼らに防御呪文を唱えてその身を守る。
この状況でよくぞ持ちこたえた、と思ってしまうほど、リドルの攻撃は激しい。
「スノー先輩ッ!」
突如その場に響いたスノーの声に、エースが上空に視線をむける。
スーッと急降下してくるスノーがやけに心強く見えた。
「ストゥーピファイ(吹き飛べ)」
手に持つ杖を真っ直ぐにリドルへと向けて唱えれば、不意打ちを食らったその体は大きく後ろへと吹き飛んだ。
「下がってて。
あとは私がやるわ。」
「いくらスノーでも…」
そう言い淀んだトレイにスノーはピシャリと言い返す。
呻きながら立ち上がり、攻撃をしてくるリドルからスノーは視線を逸らさない。
「戦い慣れてない人がいても足手まといよ。」
向こうはオーバーブロットしている。
本気で彼らを殺そうとして襲いかかってきているのだ。
だが彼らは違う。
大切な友で、寮長で。
本気で攻撃なんてできるわけが無い。
彼らには戦場に立つ覚悟がないのだ
「エクスペクトパトローナム(守護霊よ来たれ)」
スノーが杖を振り、銀色の蛇がリドルの魔法を受け止め跳ね返す。
「ローズハート先輩を助けたいなら下がってて。
あいにく後ろに気を使って戦うほど気遣いはできないわ。
巻き込まれないように、クローバー先輩とダイヤモンド先輩で1年生を。」
それだけ言い残すとスノーは再び空へと舞い上がった。