それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第2章 捕らわれ堕とされる
「あれぇ…
アレってスノーちゃんじゃなーい?」
「スノーさんと、クルーウェル先生ですね。」
大空をくるりくるりと踊るように飛ぶスノーはとても楽しげに見える。
その後ろを猛スピードで箒に乗って追いかける、クルーウェルさえ見なければ、とても楽しそうな光景だ。
「イシダイ先生なんか楽しそうじゃね?
オレもスノーちゃんと遊びたいしー」
「フロイド、我々ではあのお遊びには到底参加できませんよ」
眩しさに目を細めながら、ジェイドは呆れたように言葉を漏らす。
アズール程ではないが、フロイドとジェイドも飛行は得意ではない。
フロイドに関しては持ち前の身体能力を活かして人並み以上には飛べるが、上空のあれは次元が違いすぎる。
普段は理系科目を教えているクルーウェルだが、さすがはナイトレイブンカレッジの教師。
この男に出来ないことがあるのだろうか、と疑問に思うくらい華麗に箒も乗りこなす。
片手で箒に掴まり、もう片一方の手にはマジカルペン。
彼がマジカルペンを振る度に上空では小さな竜巻が飛んでいく。
そして恐ろしいのはそれから逃げるスノーである。
背後から飛んでくる竜巻の中、これまた猛スピードで逃げていく。
地上から見てわかるレベルの竜巻だ、上空ではかなり気流が乱れているに違いない。
その中をクルクルと身を翻しつつ飛び回るのだから、並大抵の飛行技術ではない。
「ざんねーん」
「それにしても…クルーウェル先生はそろそろ入学式の会場で仕事があるのでは?」
双子がそんな会話をしていた最中だった。
「リドル兄弟か…丁度いい
そろそろこの駄犬を撃ち落とすが…
地面に落とすんじゃないぞ。
受け止めろ。」
2人を見つけたクルーウェルは大きく声を張ると、目を細め更にスピードをあげてスノーを追い始めた。
「フロイド、巻き込まれましたよ」
「あはっ!イシダイ先生がスノーちゃん撃ち落とすってぇ。
ギュッてしていいかなぁ?」
竜巻の中を飛んでいるスノーにはその会話は聞こえない。
下に天敵が居ることにも、まだ気がついていなかった。