それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第2章 捕らわれ堕とされる
さすがに激しい追いかけっこに、スノーの体力も尽きてきた。
クルーウェル先生は今日も容赦なく追い詰めてくる。
そんなスリルのあるこの追いかけっこが、ゾクゾクするほど心地いい。
元々闇の陣営にいたからだろうか、命の危機と隣り合わせの日々を過ごしていたスノーにとって、ここでの日常はつまらないのだ。
刺激が足りない。
実に色んな意味でスリルが足りない。
人を傷つける悦楽も
体に刻み込まれる快楽も
何もかもがもの足りない。
愛しいあの人がいないという心の穴とあいまって、余計にスノーは乾きを覚える。
そんな中で、クルーウェルのような存在は実に大きなものである。
襲ってくる竜巻は少しでも油断すればスノーの体を地面へと叩きつけるだろう。
かといって安全に飛ぶために少しでもスピードを落とせば捕まってしまう。
そのスリルがたまらなくゾクゾクする。
捕まったらどうなるか。
今までに何度もこの遊びは繰り返しているが、クルーウェルは本当にスノーのことをよく理解している。
本気でイヤなことを必ずお仕置で用意してくる。
その罰ゲームの存在がまた、スノーをゾクゾクさせ、本気にさせるた。
自然界ではありえない乱れ方をする気流の中、スノーはほんのり息を切らしながら逃げ回る。
あぁ、捕まってしまう。
もっと、もっと早く飛ばなくちゃ。
息が乱れて苦しくなってきた。
そう思った瞬間だった。
ドンッ…
背中に何か強い衝撃が走る。
何かがスノーの背に当たった。
カハッ…と息が漏れる程の衝撃。
荒れる気流とのダブルパンチでスノーの体制がグラリと崩れたその時。
ドンッ…
狙った獲物は逃がさない、追撃がスノーの体を更に襲う。
「アッ…」
「ゲームオーバーだ駄犬。
勝者は俺様、badgirlにはお仕置だ。」
愉悦を含んだ低い声が聞こえる。
捕まったと思った瞬間、ゾクゾクとしたものが背を駆け抜ける。
「俺様は今から忙しい。
逃げたお仕置は下のアイツらに任せるとして…
いい子で入学式に参加すれば、ご褒美をやろう。
必ず来るんだぞ、スノー」
箒から落ちる瞬間、クルーウェルが横を飛びながら声をかける。
見下す目が、勝者の目が、スノーの熱を煽った。