それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第6章 赤の王がその名を汚す
禍々しい大きな黒い影を背負い、ドロリとした漆黒のインクのような液体にまみれ。
死人のような真っ白な肌に、焦点を失った瞳。
右目には炎が浮かび、吐き出す声はひどくしゃがれていた。
「ククク...ハハハ!
僕に逆らう愚か者共、そんな奴らは僕の世界にいらない。
そうだ、スノーさえそばにいてくれればいい!
僕の世界では僕こそが法律。
きっとスノーも賛同してくれる!
僕こそが世界のルールだ!
返事は"はい、リドル様"以外許さない!
僕に逆らう奴はみんな首をはねてやる!
アハハハ!」
その様子は異様で、ひどく冷たい姿に見えた。
「ああ、なんてことだ!
私がついていながら生徒をオーバーブロットさせてしまうなんて!」
クロウリーが珍しく焦った声で狼狽える。
対処するにも、決闘のギャラリーで集まった生徒達が大勢いすぎて守りながらの対処は困難だ。
オーバーブロットについて説明をすると共に、クロウリーは頭をフル回転させた。
「生徒の命が最優先事項です。
他の寮生は私が避難させましょう。
ローズハート君の魔力が尽きる前に正気に戻さねば。
命を失うことも最悪ですが、更に最悪なのが...。
とにかく、君達は他の教員と寮長達に応援を要請して…」
指示を出すクロウリーの言葉を聞かずに、エースとデュースがリドルに反撃をする。
それに合わせてグリムも青い炎を吐き出した。
それぞれがリドルに対して思いの丈を叫びながらむかっていった。
「...お前達...分かった!
少しの時間なら俺がリドルの魔法を上書きできる。
その間に、頼む!
学園長、寮生達の避難を頼みます」
その姿を見てトレイまでもが加勢すると言う。
なにか覚悟を決めたのだろう。
クロウリーはそんな生徒達の成長を微笑ましく思うと同時にため息をつく。
こうなってしまっては仕方ない。
「ああもう...
すぐにスノーくんを呼びますから!
生徒を避難させたら私もすぐに戻りますから!
それまで耐えてください!
彼女が到着したら対処は任せて身の安全を守ること!
いいですね!?」