それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第6章 赤の王がその名を汚す
あれから一夜明け、そしてまた夜がくる。
今日もオンボロ寮に避難しているハートラビュル勢は賑やかだ。
どうやら寮長の座をかけて決闘をするらしい。
瞬殺されるであろう彼らに哀れみの目を向けたのはここだけの話だ。
「スノー先輩!なんか寮長に勝てる魔法ないんすか?」
作戦会議をしているらしいエースが顔を上げた。
「ないわよ。」
容赦なく即答してやれば、全員からえぇー!という悲鳴が上がる。
そんな一瞬でリドルに勝てるようになる魔法なんてあるわけがない。
そんなものがあるならみんな使っている。
「ご参考までに聞きたいんですが。
スノー先輩なら、寮長と決闘するならどうしますか?」
グッと拳を握りしめ、デュースが食い下がってくる。
スノーならどうするか、というのはいい着眼点だ。
「うーん…
何をしても結果は変わらないから、適当にやるわね」
そんなぁ…と項垂れる3人と1匹はきっと勘違いしている。
何をしても負けるから適当にやる、という意味でスノーが言ったと思ったに違いない。
項垂れる1年生たちを眺めながら、スノーはふふっと密かに笑う。
何をしても勝てるから、いちいち考えて臨まない。
その意味だと気づくことは無いだろう。
決闘といっても、所詮は学生の決闘だ。
生死を賭けた決闘をしてきたスノーが負けるわけがない。
ましてや殴ったり蹴ったりの体術が禁止となれば負ける要素などあるわけがない。
踏んできた場数が違うのよね…
なんて思いながらも初々しい彼らをながめる。
まぁ1度完全に痛い目にあえば成長するだろう、なんて思いながら。
「スノー先輩も応援に来てくれるっしょ?」
「おやまぁ…明日の放課後はサバナクロー寮でマジフトの練習に付き合う約束をしてるのよね。」
マジフト大会が近いせいか、気合いのはいるサバナクロー寮から呼ばれているのだ。
さすがにレオナの招集を蹴るのはまずい。
本日何度目かのえぇー!という声を聞きながら、スノーはふふっと微笑んだ。