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それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】

第6章 赤の王がその名を汚す


「お疲れさん、悪かったな」

パーティーも終わり、談話室のソファーでくつろぐスノーはその声に顔を上げる。
「クローバー先輩…」
スノーはジトーっと恨みがましい目で彼を見る。
この男さえ下手を打たなければ、何事もなく平和だったのに、という恨みを込めてトレイを見上げる。
「す、すまん…」

「…私、今疲れて機嫌が悪いんです。
なので今まで思ってた事をぶちまけてもいいですか?」
口元だけ笑ってスノーが問いかける。
そしてトレイの返事を待たずに喋り出す。

「ハーツラビュルに来る度に思ってたんです。
どうしてルールを守るのローズハート先輩が悪く言われるのか、って。
ルールを守れない人が悪いのは当たり前だし、罰があるのもあたりまえなのに。」

スノーはゆらりと立ち上がるとトレイの目を見つめながら言葉を続ける。

「ルールがおかしい?
ルールが厳しい?
だから大目に見ろ?
ではどこまで許すんですか?
人によって価値観が違う、だからこそルールって存在するんですよ。
それで人を平等に律するものですから。
ルールがおかしいなら、ルールそのものを見直せばいい。
みんなで意見を出し合って改変すればいい。
それすらせずに文句ばっかり。」

真っ直ぐにトレイを居抜き続ける瞳がスっと細められる。
思わずトレイの背に、つーっと冷たい汗が流れた。

「本当に、悪いのは誰かしら…
本当に悪いのはローズハート先輩だけかしら?」

スノーはそこで言葉を切ると、視線はそらさずにニッコリと微笑む。
しばしの沈黙が2人の間に流れていく。

「まぁ、私はハートラビュルの寮生では無いから、これ以上は何も言わないですよ。
ラズベリーパイ、ご馳走様です。
それではおやすみなさい。」
言いたいことは以上だ、と言わんばかりにスノーは杖を振るとその場から姿を消した。

スノーの居なくなった談話室で、トレイはズルズルとしゃがみ込んだ。
年下の、それも女の子相手に、底知れぬ恐怖を感じたのだ。
そして、彼女の言った言葉はあまりにも正論すぎた。

スノーの言う通りだ。
全員悪い。
トレイはぐっと拳を握りしめた。
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