それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第6章 赤の王がその名を汚す
「我らがリーダー!
赤き支配者!
リドル寮長のおなーりー!」
「リドル寮長バンザーイ!」
「我らがプリンセス!
密色の姫君!
スノー様のおなーりー!」
「 スノー様バンザーイ!」
なぜハートラビュルの寮長と同じ扱いで入場させられているのか、よくわからないままスノーはリドルのエスコートでパーティーに入場する。
「ねぇローズハート先輩。
密色の姫君ってなんのことかしら。」
周りに聞こえないように、小声でこっそりと訊ねてみる。
「キャッチコピーが欲しいね、と僕が言ったら寮生が考えたんだ。
いいキャッチコピーだろう?」
もはや何も突っ込むまい。
ご満悦そうな顔をするリドルに、なんだそれ、っと突っ込もうものならせっかく直った機嫌がまた悪くなってしまう。
スノーは諦めてリドルと共に会場を回った。
乾杯した後ものんびりリドルと共に寮生と言葉を交わす。
自室があって出入りはしていたものの、寝に帰るだけだったスノーは、ほとんど寮生と話したことがなかったのだ。
「あのー」
スノーがお喋りを楽しんでいると、エースがリドルに遠慮がちに話しかけてくる。
うまくやるんだよ、と内心応援しながらチラリと様子を伺っておく。
リドルのいちごタルトを盗み食いしたお詫びにタルトを持参したというエース。
後ろにトレイやケイトもついている事だし、大丈夫だろうと思っていた矢先だった。
「ふぅん?
一応聞くけど、何のタルトを?」
「よくぞ聞いてくれました!
旬の栗をたっぷり使ったマロンタルトです!」
「マロンタルトだって!?信じられない!」
エースのその言葉を聞いた瞬間に、スノーは思わず額に手をやった。
トレイとケイトがついていながらこの凡ミス。
完全にやらかしている。
焦った顔をするトレイとケイトに声に出さずにバカ、と唇で伝える。
せっかく直したリドルの機嫌が台無しだ。