それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第6章 赤の王がその名を汚す
スノーとオクタヴィネルの上位メンツはどちらかというと、ウマが合わない。
リーチ兄弟のユニーク魔法の件でスノーが苦手意識が強いのもあるが、それだけではない。
このアズール・アーシェングロットも好きでは無いのだ。
ことある事にスノーの過去を知ろうとしてきたり、契約を持ちかけてくる。
この男の性格からして、スノーの弱みを握りたいのだろうが、やはり気分のいいものではない。
とはいえ、今の彼はしょんぼりとしながらスノーの足に真剣に治癒魔法をかけている。
こういう生真面目な所は評価に値するものだ。
「やっぱり空は苦手なの?」
「あなたは魚が空を飛べるとお思いで?」
苦々しい顔でアズールがそう吐き捨てる。
「まぁそれは確かに。」
「でも、あの大空を自由に飛び回れたらいいな、とはたまに思いますよ」
海の中と違う爽快感でしょうね、と言葉を続けながら、治療をしていく彼の手つきはとても丁寧だ。
スノーは空を見上げる。
抜けるように青い空は、いつも自由だ。
足で走るのとは違って、箒に乗れば縦横無尽に駆け回ることが出来る。
「アーシェングロット」
「なんです?」
痛みもほとんどなくなり、治癒魔法ももうすぐ終わるだろう。
「あなたを運動場までおくるから。
ちょっとばかし気分転換に付き合って欲しいのだけど」
"レデュシオ(縮め)"
スノーはアズールの箒に呪文をかけ小さくすると、それをポケットへとしまいこんだ。
"アクシオ ニンバス"
自分の箒を呼び寄せる。
「授業が終わったらそのままモストロ・ラウンジのブレンドアイスティーね。
それで今日の失態はなしにしてあげるわ。」