それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第2章 捕らわれ堕とされる
つかぬ間の休息をとった寮長2人は、それぞれの仕事に戻っていった。
寮長というのは大変そうだ、とスノーは生ぬるい眼差しで2人を見送った。
スノーに所属の寮はない。
憎いルシウスと、怪しい学園長の間にどんなやり取りがあったかは知らないが、異世界からの大事な預かり物、というポジションになったあの日。
元の世界ならば組み分け帽子が"スリザリン!"と迷いなく叫ぶ所だが、あいにくここは全くの異世界。
当然スリザリンなんて叫ばれる訳もなく、闇の鏡はしばらくの沈黙の元こう言ったのだ。
"汝の魂は異界の魂…
この者からは膨大な魔力を感じる
だがしかしこの者に適した寮はここにない
故にどの寮にも属し属さぬ"
正直ちんぷんかんぷんである。
結論が全くわからない。
属し属さぬ、なんて訳の分からないことを言ってくれたせいで、スノーをどう扱うかの会議になってしまったのだ。
住所不定にでもなった気分である。
結果的に全寮に部屋を持つという、前代未聞のVIP待遇になったのはスノーにとってはよかったのか悪かったのか今でもわからない。
そもそもだ。ナイトレイブンカレッジは男子校である。
当然女子生徒が生活するような設備がない。
ましてや年頃の男子生徒の中に、女子生徒が1人。
それも極上の美人、となれば心配事はつきない。
各寮の寮長・副寮長の部屋の近くに部屋を持つことになったスノーは、ある意味当然の事だったのかもしれない。