それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第5章 内から抉り出す
"やめろ…やめろぉぉぉぉお!"
悲痛な少女の叫びが響き渡る。
聞いているのが辛いくらいの、悲痛な叫びだった。
鏡から吐き出されるように床に投げ出された少女は、とても美しかった。
腰まであるプラチナブロンドの髪は、キラキラと光り。
華奢な手足は雪の様に真っ白で。
クルーウェルは一息つきながら彼女を観察した。
横にいたバルガスとトレインも同様に彼女を観察していたに違いない。
クロウリーが廊下へと繋がる扉を開け、寮長達が静かに入ってきたが、そんな事が気にならないくらい彼女に目をひかれた。
こんな少女が、闇の帝王の1番の側近だったのか、と衝撃を受けたのだ。
「あッ…あ゛ぁぁぁぁぁぁぁあ!」
悲痛な叫び声をあげながら、彼女は崩れ落ちる。
ボロりと大粒の涙がこぼれ落ちだ。
「…お久しぶりですね、スノーさん。
以前鏡越しにお話をしたんですが、わかりますか?」
「…お久しぶりです、クロウリーさん。
えぇ、我が君と共に何度かお話させていただきましたね」
クロウリーが様子を伺いながら話しかけると、少女は唇をギュッと噛み締める。
そしてスっと立ち上がり、優雅に微笑んだ。
この子はなんて強いのだろう、そう思った。
涙を流しながらも、気丈に振る舞う。
杖を握りしめた手が震えているというのに。
「大変不本意かもしれませんが…
ヴォルデモート卿からあなたを頼まれていました。
あなたを保護させていただきます。」
少女はギリッと唇を一瞬噛んだが、直ぐに微笑む。
「ありがとうございます。」
主人の顔に泥を塗らないように必死に取り繕っているのだろう。
少女はくるりとこちらを向くと、美しく優雅にお辞儀をしながら口を開いた。
「スノー・マルフォイと申します。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします」