それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第5章 内から抉り出す
クルーウェルはふぅ…と煙を吐き出した。
ベッドですやすやと眠るスノーの髪をすくう。
手入れの行き届いたキラキラの髪の毛は、サラサラとクルーウェルの手からこぼれ落ちていく。
大切な人を失い
1人で異世界に飛ばされ
それでも気丈に振る舞うスノーは実に美しい。
とはいえその不安とストレスは相当なものだろう。
クルーウェルは気づいていた。
スノーが快楽に溺れるのは、そんな心理的な負担から逃げるためだ。
快楽に溺れて現実から目を逸らしたい、泣き言を言わない代わりなのだ。
死者を呼び戻す、なんて事は不可能に近い。
仮にその方法があったとしても、相当の代償を払う必要がある。
それでもスノーは諦めずに研究を続けている。
スノーは非常に優秀だ。
授業こそサボって出てこないものの、錬金術の授業などはクルーウェルの助手ができるレベルで優秀なのだ。
最近はこちらの世界の技術と、むこうの世界の技術を掛け合わせて研究をしているらしい。
もしかしたら…
死者を呼び戻す禁術を、本当に編み出すかもしれない。
その時、一体彼女はどれだけの犠牲を払うのか。
そう考えると恐ろしい。
きっとスノーは、自分の命を差し出してでも成し遂げるだろう。
クルーウェルは煙管の火を消すと、スノーの横に寝転んだ。
小さな体に、多くの物を背負いすぎているスノー。
その華奢な体をそっと抱きしめる。
「おやすみスノー、良い夢を」