それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第5章 内から抉り出す
探し人とは、探している時に限って見つからないものである。
学園長室に行ってみたものの、見事に不在だったのだ。
スノー校内をグルグルとあてもなく探し歩く。
どうせどこかの寮の自室に戻ったところで、そわそわして落ち着かないのだから、ある意味ちょうどいい。
体を動かして気をまぎらわせているのだ、もはやそう思うしかない。
「ステイだ、仔犬」
そんなスノーの背に、クルーウェルの声がかかる。
「おやまぁ…クルーウェル先生、ごきげんよう」
くるりと振り返り挨拶をすれば、満足そうにクルーウェルは頷いた。
「きちんと挨拶が出来たなグッドガール!
だかしかし、さっきから落ち着きなく何をしている」
スノーはふと思う。
申請はクルーウェルにしてもいいのではないか、と。
「オンボロ寮に新しい家具を買ったんです。
それの搬入の申請を学園長にだそうかと思ったんですけど…」
あざとくニコリと笑えば、フンっと鼻で笑われた。
「きちんと申請をするのは偉いが、あいにく学園長は本日外出中だ」
「おやまぁ…」
「代わりお前が考えている通り、俺様が受理しといてやろう。」
クルーウェルはなんだかんだいって面倒見がいい。
言葉もきつければ、授業も厳しい。
だがしかし、生徒が質問に行けば理解するまでとことん教えてくれる。
スノーはクルーウェルのそんな姿をよく見かけた。
勘違いされやすい人だ。
本当は誰よりも親身になってくれる教師だというのに。