それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第2章 捕らわれ堕とされる
魔法でティーポットを温めて。
ついでにカップも温める。
赤髪のちっこいのは猫舌だから、ぬるめに温めておいてあげよう。
「いつ見てもアンタが紅茶を淹れる姿は優雅よねぇ。」
「慣れですよ、ヴィル先輩。」
サラダをつつきながら褒めるヴィルに、スノーものんびりと返事を返す。
お湯は沸かしたての熱々を。
茶葉が踊るように勢いよく。
蓋をしたら動かさない。
コツを教えてくれた真っ黒な男は死んでしまったが、我が君の手にかかって死んだのだから仕方ない。
アレもまた、裏切り者だったのだから。
鷲っぱなの黒い男を思い出して、ふふっとスノーは笑みを零した。
「お前たち、お茶会か?」
腰に手を当て小さい赤いのがふんぞり返って声をかける。
「ハートの女王のルールに定義されてない、
英国式のお茶会ですよ、ローズハート先輩。」
「スノー、ハートの女王の法律だ。微妙に間違ってる」
そう呆れたように言いながらも、ハーツラビュル寮の寮長、リドル・ローズハートは当たり前のように席に着く。
いつもの光景だ。
視界に入れば共に紅茶をたしなむ。
そんな3人のお茶会はとても穏やかだ。
わざわざハートの女王の法律に定義されていない、
という前置きをつけてやるのは保身のためである。
そうしないとこの男は法律、法律とうるさいというのは、すでに学習済みだから。
「アンタ、リドルの扱いが上手くなったわね…」
「そりゃもう半年も居ますからね」
スノーは苦笑いをしながら時間を計る。
英国式のお茶会は、主催者が美味しくお茶をサーブし、優雅に楽しめさえすればいい、なんて適当なことをリドルに教えたのはここ最近のことである。
「スノー、今日はトレイが焼いたクッキーを持ってきたぞ」
ついでに髪が赤い者は茶菓子を持参するのがルールだと教えこんだのはご愛敬。