それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第2章 捕らわれ堕とされる
今日は午後から入学式。
そんなことをクルーウェル先生が言っていた気がする。
用意で忙しいからか。
それとも一般生徒はあくまで休日だからなのか。
はたまたお昼時を過ぎているからか。
食堂はいつもり静かでゆったりとした空間になっていた。
スノーはテラス席でのんびり紅茶を飲みながら、心地よいそよ風にあたる。
無造作に下ろされたプラチナブロンドの髪は風に遊ばれ、
陽に当たってキラキラと輝いている。
深い海色の瞳は、
カップの底に見える茶葉をつまらなさそうに眺めた。
「あらスノーじゃない。
珍しいわねアンタがこんな所にいるなんて。」
そんなスノーの背後からひょこっと顔を出したのは、ポムフィオーレ寮長、ヴィル・シェーンハイトだ。
「おやまぁ…ヴィル先輩じゃないですか、ごきげんよう」
スノーはのんびりした声でその名を呼んだ。
ヴィル先輩。
彼はこのヤローだらけの学園生活で、
何かと女である自分を理解して助けてくれる、
スノーにとっても数少ない、よく喋る人間だ。
「今日もシケたツラしてるわねぇ…。」
そんなことを言いながら、
ヴィルは勝手にスノーの正面に腰をおろした。
手に持つトレーには彩りのいいサラダがのっている。
「ヴィル先輩、お昼今からですか?」
「そうなのよ!
今日はこの後入学式でしょ?
そのまま新入生が入寮するし、
各部屋のチェックとかで大忙しよ。」
そう答えたヴィルは、疲れているのかいつもより所作が荒い。
フォークでザクザクとサラダを刺しながら、嫌になっちゃう…とため息をつくヴィルにスノーはなんとなく同情した。
「そういえばクルーウェル先生がそんなこと言ってかも。」
スノーは相槌を打ちながら、杖を小さく一振する。
遠くにちっこい赤髪が見えるが、どうせアレもここに合流するだろう。
そう踏んでカップを3つ用意する。
茶葉は何にしようか。
疲れた体に染み渡る、スモーキーな香りの紅茶にでもしようか。
そんなことを思いながら、スノーは再度杖を振った。
アンバランスな3人のお茶会は、いつも唐突に始まるものだ。