それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第4章 監視し手を下す
わけも分からず、とりあえず指示された通りに橋まで走った彼らは、足を止めて振り返る。
少し離れた所に着地したスノーと、そのスノー目掛けて走ってくる化け物が見えた。
状況の整理がつかない中で、いくら先輩でもあの化け物相手は…と、彼らが思った瞬間だった。
「"アバタケダブラ"」
底冷えするような声がいやに耳に残った。
一直線に、スノーの杖から光が走る。
その光は化け物を真っ直ぐに貫いていく。
ゆっくりと、化け物の体が崩れ落ちる。
さっきまでの暴れようが嘘のように、ピクリとも動かない。
何が起こったかはわからないが、スノーがアレを一撃で仕留めた、ということだけはなんとなくわかった。
地に伏せた化け物は、しばらくすると黒い煙となって、跡形もなく姿を消した。
消滅した、という言葉がしっくりくる、そんな様子だった。
何が起こったかわからずに呆然とする彼らの元に、ゆったりと歩み寄ってきたスノーは、思わず苦笑いしてしまう。
揃いも揃ってなんという間抜け面だ。
「怪我はない?」
声をかけてはみるものの、全員間抜け面のままスノーを見つめている。
「先輩…」
デュースが震えた声を絞り出す。
「ん…。怖かったね、よく頑張ったわね。」
頭をポンポンと撫でてやれば、デュースは袖で目元を拭った。
死を覚悟しただろう。
今まで味わったことの無い恐怖を感じただろう。
でもそれがきっと今後の彼の糧になる。
「そこの小動物使い。
名前は何だったっかしら?」
いつもマグルと呼んでいたから名前が全くわからない。
「ユウ、です。」
「ユウ、状況判断がよくできたね。
熱くなってる2人をよくまとめあげた。」
マグルなのは気に食わないが、褒めてやってもいいと思った。
「エース、ナイスサポートだった。
そこの小動物も、うまく協力できてたね。」