それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第4章 監視し手を下す
闇の鏡の元まで、のんびりとみんなで歩いて向かう。
「でもさ?
先輩も見てたんならもう少し早く助けてくれても良かったじゃん」
エースが唇を尖らせる。
あれだけ怖い目にあったのだから、その感想はごもっともだろう。
「学園長命令でギリギリまでは手を出すな、とのお達しだったのよ」
とはいえ、本当にギリギリまで手を出さなかったのは事実だ。
あの学園長だって、ここまでギリギリを指示したわけではないだろう、と思いつつ、にこやかに接する。
「なぁなぁお前、何者なんだぞ?
めちゃくちゃつえーし、一体なんだんだぞ!」
先日その恐ろしさを身をもって体感したグリムがユウの後ろに隠れながら生意気に聞いてくる。
「私は…異世界の魔法使い。
魔法戦争中にこっちの学校にきたの。
だから、戦闘には慣れてるのよ。」
嘘は、言っていない。
それを聞いて、彼らが何を想像するかは知らないが。
「へぇー!
さっきの箒さばきとか、マジでかっこよかったんだゾ!」
「それはどうも。」
のんびりと会話をしつつも、何も喋らないデュースが少し心配になった。
さっきからずっと俯いたままだ。
「デュース?」
「先輩…俺…ちょっと空を飛ぶのは初めてで…
なんというか…酔った、かも…」
「それは早く言いなさいよ」
スノーはポケットから薬を取り出すと、デュースに押し付ける。
心配して損した、なんて一瞬呆れてしまった。
首根っこを掴まれて、宙吊りの状態で、尚且つ猛スピードで飛んだのだ、確かに酔っても仕方ない。
「すみませんマルフォイ先輩…」
「うん、むしろなんかごめんね?
そして今更なんだけど、私あんまりファミリーネームが好きじゃないの。
だからスノー先輩の方がいいな。
あ、君たちもね。」
申し訳なさそうな顔をするデュースの頭を、ポンポンと撫でてやりながら全員にそう告げる。
マルフォイの名は、致し方なくつけただけだ。
別に呼ばれ慣れてるわけでもなければ、自分のファミリーネームだと認識もしていない。
私はスノー。
かの君が名付けたその名前だけが己の名前。