それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第4章 監視し手を下す
陽動をかけつつ、洞窟から引き離す作戦の彼らを、気づかれないようにそーっと見守る。
比較的うまく洞窟から引き離せている。
安直な作戦ではあるが、上手くいっているのは素晴らしい。
マグルが合図を出したタイミングで、小動物が青い炎を吐き出した。
そこにエースの風魔法が加わり、大きな炎へと変化する。
青い炎はぐるりと化け物を取り囲み、その動きを止めた。
「いでよ、大釜!」
足の止まった化け物の頭上に大釜が降り注ぐ。
見てくれは悪いが、まぁ物理的に効果はありそうだ。
化け物の足止め成功した3人と1匹は全速力で洞窟の奥へとかけていく。
そう、倒すだけの威力はない。
せいぜい足止め程度だ。
デュースが洞窟の奥で魔法石を手にしたその時だった。
「サワルナァァァァァ!」
化け物は大釜を押しのけて、今にも自由になろうかという体勢で叫びをあげた。
「うわぁぁぁあ!いでよ大釜!」
その上に更に大釜を降らせるデュースに、ギャグか!それしかないのか!
なんてつっこみたいところだが、そろそろ遊んでいる場合では無さそうだ。
全速力で今度は逃げていく彼らを眺めつつ、スノーは改めて杖を握りしめる。
大釜を押しのけて、化け物が彼らを追っていく。
大切なものを奪われた化け物は、先程よりも速い。
「イシ…カエセェェェェ…!」
生身の人間と、理性のぶっ壊れた化け物では当然体力にも差がある。
だんだんとペースの落ちる彼らのすぐ後ろまで化け物は迫ってきていた。
そして、追いつかれた。
化け物の拳が、1番後ろを走るデュース目掛けてふり上がる。
避ける事は、出来ない。
デュースは軽く振り向きつつもその恐怖をその瞳に写しながら、まるでスローモーションのようにその拳を見ていた。
大きな、凶悪な拳が、迫りくる。