それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第4章 監視し手を下す
目くらまし術を自分にかけ、スノーは新入生達を追って闇の鏡を通り抜けた。
冷たい液体が体内を駆け巡るような感覚は、相変わらず好きになれない。
やらかし組は呑気にお喋りをしながら鉱山へと向かっていく。
平和ボケしてるなぁ、なんて思いながらも、スノーは箒に跨った。
ゴースト達に追い回される3人と1匹を眺めながら、非常にのんびりとついて行く。
あの小動物が一生懸命火を吐いてゴーストを追い払う。
茶髪の少年…エース・トラッポラだったか、彼は風をおこす魔法が得意なようだが、まだまだ戦闘に使えるレベルではない。
究極は紺の髪の少年だ。
この狭い鉱山の中で大釜を出してどうする気だ。
大釜なんて魔法薬を作る時にしか必要が無い!と突っ込んでやりたい。
彼の名はなんと言ったか…デュース・スペードだったか。
小動物とマグルペアが1番戦えてるなんて、なんとも皮肉なものだ。
あきれて眺めていたその時だった。
「い…し…ウゥゥゥ…オデノモノォォォォォ…!」
酷くしゃがれた叫びが奥から聞こえる。
わぁお、学園長、これはビンゴ臭いですよー、なんて思いながら、スノーは杖を握りしめる。
致し方ない。
今回の最優先事項は子守りだ。
鉱山の奥から、ノシノシと化け物が現れた。
「なんだあのやばいの!」
「ふなぁぁぁあ!?」
デュースが慌て、グリムが悲鳴をあげる。
声をあげるというのは、敵に居場所を知らすのも同然。
うーん、青いなぁ…なんて思いつつも、スノーも一応戦闘態勢に入る。
目を凝らしてよく見れば、随分と大きな化け物だ。
顔の部分は真っ黒なインクの入ったインク瓶に変形してしまっている。
どう見ても、もう手遅れの状態だ。
「カエレ!カエレ!」
デュースが吹き飛ばされた。
「俺が仕留める!」
エースが魔法を放つが、あからさまに威力が不足している。
化け物に殴り飛ばされるハーツラビュルの1年生を見ながら、ギリギリまでは、とまだ様子を見る。
幸い化け物の動きは早くない。
撤退を決めた彼らの足でも逃げ切れるだろう。