それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第4章 監視し手を下す
「なるほど…
対価としては悪くないお話ですね。」
うなづいたスノーに、クロウリーは話を詰めてくる。
「そうでしょうとも!
こっそり見守っていてくれればいいのです、何事もなければ!
彼等の身に危険が迫っても、ギリギリまで手は出さずに。
万が一の時は…仕事をお願いしますよ。」
「その可能性がある所に新入生を送り込むなんて、鬼畜ですね、学園長。」
「何事も経験ですよ、経験が人を大きく成長させるのです!」
仮面の下でニヤリと唇が弧を描く。
こちらの世界で無一文のスノーには、裏の仕事がある。
オーバーブロットから戻れなくなった者の始末だ。
オーバーブロットしてすぐに対処をすれば、一般的には元の状態に戻ることが出来る。
だがしかし、対処を誤り長期に渡ってその状況が続けば、人には戻れなくなる。
闇に心身を飲み込まれ、化け物へと成り果てる。
元々人であったものを殺す、というのは綺麗な仕事ではない。
その報酬は非常に大きなものであり、たまにしかない仕事でもスノーの学園生活は十分に賄える。
闇の陣営として、死の呪文を躊躇なく放ってきたスノーにとっては、もってこいの仕事であった。
「平和な1年にはならなさそうですね、学園長…」
「えぇ、とても楽しい1年の始まりですよ。
ところで…あなた、授業はどうしたんですか」
「今さら聞きます、それ。」
どこまでもすっとぼけたクロウリーに、スノーは思わず苦笑いを零す。
「もっとも、今日に限ってはサボっていてくれたおかげですんなりお話が出来たので好都合ですが。
今日の放課後には闇の鏡を通って向かうようですから、よろしく頼みましたよ。
ではごきげんよう。
紅茶もご馳走様でした。」
マントを翻した次の瞬間には姿が消えていたクロウリーに、スノーは小さく呟いた。
「…御意に、学園長。
私も使えるものは最大限使わせていただきますよ」