それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第3章 見せつけ見下す
マグルへの対応も決まったところで、ようやく入学式もお開きとなる。
これから各寮長と副寮長に引率され、新入生は寮へとむかうのだ。
さて、今日はどこの寮の自室で寝ようか。
これは非常に悩ましい問題だ。
この後は各寮で歓迎会があるはずだ。
行く所を間違えればめんどくさい。
宴バカが寮長のスカラビア寮に行けば、確実にどんちゃん騒ぎに巻き込まれる。
ハートラビュルは女王の法律とやらで歓迎会のルールもめんどくさい。
オクタヴィネルは論外だ、今日あんな事があってウツボ共と過ごすのは心の底から勘弁だ。
ディアソムニアとイグニハイドはそもそも寮長が入学式にいない。
スノーですら出席しているのに、なぜいないのか、なんて考えても仕方ない。
となれば、選択肢は2つだ。
このままヴィルについて行くか、レオナについて行くか。
いや、あえてイグニハイドにいってこっそり自室に引きこもるという手もある。
あの寮ならこんな日でも、ひっそり引きこもっていれば平和かもしれない。
そうと決まれば、さっさとトンズラするに限る。
スノーが姿くらましをしようと、ポケットの杖に手を伸ばした時だった。
「オイ。」
肩に大きな手がかかる。
触れられていては姿くらましできない。
できなくはないが、イグニハイド寮に一緒に飛ぶことになる。
さすがにそれはまずい。
「なんですか、キングスカラー先輩」
「まずはポケットからその手を出せ、杖はしまっておけ」
完全に読まれていると内心舌打ちをしながらチラリと背後に目をやる。
肩から手を離さずに、どちらかというとしっかり掴んだまま、レオナは呆れたようにスノーに問う
「一応聞いてやるが、どこに行くつもりだ」
「…イグニハイドに」
「お前はバカか。あのオタクの餌食になりに行く気か。」
呆れたようにレオナはスノーの格好を上から下まで視線を動かす。
忘れていた、あのオタクは萌えとかよくわからない発言をするんだった。
それはそれで厄介だ。
「サバナクローは副寮長がいなくて引率の目が俺一人じゃ届かねぇ。
手伝え、それでそのまま寝ていけ。」
もっとも、寝れねぇかもしれないがな。
なんて耳元で囁くのだから、この男はタチが悪い。
「サバンナではボスの女に手を出すのはご法度だ。
そういう意味でも丁度いいだろ。
…お前は女なんだから。」