それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第3章 見せつけ見下す
『汝の名を告げよ』
「ユウです」
"ユウ…
汝の魂の形は…わからぬ"
異様な空気に視線を闇の鏡に向ける。
ザワザワと騒がしい。
"この者からは魔力の波長が感じられぬ。
色も、形も、一切の無である"
ただその言葉だけが耳にしっかりと入った。
「マグル…?
汚らわしい…」
思わずボソッと言葉を漏らすと、横のヴィルは苦笑してスノーの肩に手を置いた。
「落ち着いて、スノー」
我が君が嫌ったマグル。
魔力のない者など皆殺しにしてしまえばいい、そんな、思いが湧き上がる。
そんな中ヴィルの手を肩に感じ、ぐっとこらえる。
さすがにこの場で殺すのはまずい、そのくらいはわかる。
「ヴィル先輩…大丈夫ですよ。」
フラストレーションが溜まるだけだ。
「その人間と違って、オレ様は魔法がつかえるんだゾ!
見てろよ!魔法ならとびっきりのやつを見せてやる!それっ!」
スノーがマグルへの嫌悪感と戦っている間に、事態は次の展開へと移り進む。
狸と猫の間の子のような生き物が青い炎を吐き散らす。
めちゃくちゃに炎を吐くその小動物は、なかなかに危険だ。
学園長からの捕獲命令に、アズールが率先して魔法を放つ。
しかし、さすがは戦闘に向かない寮長No.1のアズール。
動く小動物に、攻撃は全く当たらない。
暴れている小さな獣に、苦戦しているさまを見ているとスノーはイライラした。
たかだか小動物1匹に魔法が当てられないのか、なんて思ってしまった。
「ヴィル先輩…私、手を出してもいいですかね?」
「殺さなきゃいいんじゃないかしら?」
「承知しましたー。」
一応寮長ではないから、隣にいるヴィルに許可をとる。
そして、スノーは杖を振る。
「クルーシオ」
「ふなぁぁあ゛あ゛あ゛…ッ!」
広間中に響き渡る悲鳴が鼓膜を震わせる。
体をビクンビクン跳ねさせながら、苦痛の呻き声が止まらない。
響き渡る苦痛の悲鳴に、スノーは顔色ひとつかえずに魔法を放ち続ける。
「まったく…何を遊んでいるんですか?
こんな小動物相手に…。」
呆れたようにちらりとアズールを見れば、バツの悪そうな顔。
苦痛にもがく小動物を見れば、なんだか心が満たされる。
イライラしていた心が少し晴れた。