それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第3章 見せつけ見下す
粛々と寮分けの儀式が進んでいく中、スノーら手持ちぶたさでクルクルと杖を回した。
寮長と並んで最前列に立つスノーは、視線を身にいっぱい浴びている自覚があった。
それぞれの寮の紹介の後、クロウリーはスノーをこう説明した。
「美しい薔薇にはトゲがある。
トゲが刺されば永遠に眠り続けることになるでしょう。
彼女は他校からの特別交換生のスノー・マルフォイ。
全寮への立ち入り権利をもつ特別な存在です。」
「…ごきげんよう、新入生の皆様。
とうぞよしなに。」
そもそも寮長と並んでいる時点で目立つというのに、この学園長はとんでもない紹介をしてくれたものだ。
男子校なのに…
特別交換生ってなんだ…
そんなヒソヒソ声も聞こえてくるが、多くのものはその疑問とともに、スノーの美しさに圧倒された。
あの後髪の毛だけをジェイドに乾かしてもらい、早めに控え室に向かったスノーは目論見通り、早めに来ていたヴィルを見つけた。
こんな珍しく正装した自分を、ヴィルが見逃すはずはない。
きっと完璧に仕上げてくれるだろ、と見込んでいたが、大正解だった。
胸の下まであるプラチナブロンドは、綺麗にブローされ、指先には華のあるネイルを施され、顔だってきっちりと綺麗に仕上げられる。
学園で美を追求するトップ2人のコーディネートだ、スノーが人形のように美しく仕上がるのは当然の事だった。
「そろそろ終わりかしらね、アンタ長時間ヒールで立ちっぱだけど、大丈夫?」
隣のヴィルも、飽きてきたようでヒソヒソとおしゃべりが始まる。
「ピンヒールで全速力ダッシュできるくらいには履きなれてますよ、ヴィル先輩」
「ピンヒールで走るんじゃないわよ。
それにしても、いいドレスねぇ…さすがはクルーウェル先生だわ。」
「先生とヴィル先輩のおかげで、ひじょーに注目を浴びれて光栄ですよ…」
なにか広間が騒がしいが、あまり興味が無いスノーは、ヴィル先輩の隣を死守してよかったーと杖をくるくると回す。