それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第2章 捕らわれ堕とされる
息が吸えなくて、ゾクゾク感が全身を駆け巡って、意識がぼんやりとする。
手足に力が入らない。
「あー!挨拶するの忘れてたァ。
スノーちゃん、こんにちは。」
スノーの首筋に埋めていた顔をあげたフロイドはニッコリ笑顔で力を緩めた。
息を吸えば一気に肺に空気がなだれ込んできて、血が巡る感覚が甘ったるい。
気だるさと甘ったるさで何も考えられない。
焦点も定まらずに、ぼんやりとフロイドの顔を見つめることしかできない。
「ねぇ…
俺挨拶してんだけど無視するわけ?」
にっこり笑顔から凍りつく程冷たい目をした彼に、スノーは思わずふるりと体を震わせた。
いけない、この男のペースにハマってはいけない。
少しずつ酸素が戻ってきた脳で必死に考える。
だからこの男は嫌いだ。
イヤなのに快感でねじ伏せてくるから余計に嫌いだ。
「こん…にちは…」
「はーい、よく出来ましたァ」
必死に声を絞り出せば、再び笑顔に戻るその顔が恨めしい。
息はまだ整わない。
体に残る甘いゾクゾク感も抜けきらない。
空から落ちてきたのを受け止めてもらった体制だ、
完全にフロイドに抱きかかえられたまま地に足もつかない。
不安定な体制でポケットの杖にも手が届かない。
まだ視界には入っていないが、背後には双子の片割れがいる。
…万事休す。
スノーはうまく回らない頭で、成すすべがないことだけは把握する。
「おやおやフロイド。
いつまでも宙ぶらりんではスノーさんが可哀想ですよ。
激しい空中戦の後でお疲れでしょうし…
少し木陰で休ませてあげましょう」
「そーしよぉ。
俺たちやっさしー!」
優しさの仮面を被った悪魔の声に、失望と期待をいり混じらせるのはなぜだろう。
わからないまま、スノーは抵抗を諦めた。
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