それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第2章 捕らわれ堕とされる
そしてその時はやってくる。
地面が近くなったところで急にふわりと抵抗を感じる。
落下スピードが落ちたその数秒後、ついにスノーは捕らわれた。
長く力強い腕がスノーを抱きとめる。
「スノーちゃんつーかまえた。」
楽しそうにそう言ったフロイドは、スノーの首元に頬をスリスリと擦り付けた。
「ちゃんと箒もキャッチしておきましたよ」
それはありがたい。
魔法の箒が空から落ちたくらいで折れたりしないだろうが、傷がつく可能性を考えると、非常にありがたい。
さすがはエセ紳士のジェイドである。
そんな感心をするまでもなく、悪魔の声が聞こえてくる。
「ねぇねぇ♡
ギューってしていいー?
いいよねぇ?」
耳元で、吐息がかかる距離で甘ったるい声がする。
そしてスノーを抱きしめる腕に力がこもる。
「あっ…あ゛ぁぁぁぁ…!」
ギリっと骨が軋む音がする。
肋骨が、肺が圧迫される。
甘い声とは裏腹に、締め上げる腕は凶悪なまでに力強い。
肺に残った空気を全部押し出される感覚。
息を吸い込んで肺を膨らますことができない。
ドクンと心臓が跳ねる。
今はそういう気分じゃないから。
イヤなのに、ゾクゾクと何かが背筋をかけ上る。
「おやおや。
今日のフロイドはご機嫌ですねぇ。」
のんびりとしたジェイドの言葉が遠くに聞こえる。
ただでさえハードな飛行で息が上がっていたのだ。
息が苦しくて、圧迫感が苦しくてたまらない。
「ねぇねぇ、スノーちゃん。苦しぃ?」
「ぁ…ぁ……」
楽しそうなフロイドの問いに、返事をする余裕もない。
ただただ、声にならない音が漏れる。
苦しい、屈辱的だ。
すごく苦しい。
ただ、ゾクゾクしてたまらない…。