それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第7章 核心には届かない
背後から抱きかかえるようにレオナはスノーを腕の中に捕らえていた。
密着する肌がの熱さはしばらくひきそうにない。
互いに何も言葉を発さず、ただ呼吸がおさまるのを互いに待った。
「魂を、集めているの」
ポツリとスノーが小さな声で話し始めるのを、レオナはそのまま言葉を挟まずに受け止めた。
「我が君は…
死を恐れるが故に、魂を7つに分割して分霊箱というものを作ったの。
どれがひとつでも残っていれば、復活出来るように。
でも…全て壊されてしまった。」
噛み締めるようにゆっくりと紡がれる言葉は、到底理解が追いつく話ではない。
魂を分割するなど考えたこともなければ、出来るとも思えない。
あまりにも次元が違いすぎる話に、1度全てを聞いてから考えよう、とレオナはなにも口を挟まなかった。
分霊箱、魂を分割しその断片をなんらかの物に隠す禁断の魔法。
魂を隠す物は物質でも生物でもよい。
分霊箱に納められた魂の断片は、魂をこの世に繋ぎとめる役割を持つ。
本来の肉体と肉体に宿る魂が破壊されても、ほかの魂の断片を納めた分霊箱が存在する限り、その者が本当の意味で死んだことにはならない。
分割された魂がすべて滅ぼされた状態で本体が肉体的な死を迎えると、魔法を講じた者は死滅する。
他者を殺害すると自分の魂が引き裂かれることを利用するため、分霊箱を作成する際には生け贄として他者を魔法で殺害する必要がある。
他者の命を犧牲にしてみずからの命を補強するという、最も邪悪な魔法である。
ゆっくりとポツリポツリと説明していくスノーは、ふぅ…と息をついた。
「我が君を蘇らせる為には、1度分割した魂を元に戻さないといけない。
でも当然、それ相応の対価が必要なのよ。」
対価に何が…なんて野暮なことは聞かない。
命を補強するために人の命を使い。
命を取り戻すために人の命を使い。
とんでもなく人の道から外れた考えだ。
とはいえ、今のスノーはなにも悪い事をしているわけではない。
仕事として命を奪い、それに副産物がついているだけだ。
レオナはニヒルな笑みを浮かべると、閉じ込めるようにギュッと腕に力をこめた。