それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第7章 核心には届かない
まるで覆い被さるかのように顔の両脇に手を着くレオナに、スノーはゴクリと喉を鳴らした。
杖が手元にない以上、男女の体格差はくつがえすことができない。
ましてやこのレオナだ。
どう足掻いても逃げることは出来ないだろう。
ギシリと音を立てることも無く、ふかふかの寝具が沈み込む。
「キング…スカラー先輩…」
普段は何だかんだ優しいレオナの、冷たい目にスノーはゾクリと震える。
そしてその瞬間に察する。
これは遅刻したから怒っている、なんてレベルの話ではない。
別の何かが彼を怒らせたのだと、本能的に察する。
「獣の耳は人間の耳の何倍も良く聞こえてなぁ…。
例えばだ。
電話の内容なんかも聞こえるわけだ。
なぁ、スノー?」
レオナはスノーの顎を掬うと、ジッと目を見つめた。
獣の目が、逃がす気は無いと言わんばかりにギラりと光る。
「驚いたぜ?
ローズハートの殺処分許可がお前に出たことも。
このリストにお前の名前が載ってることもな。」
レオナの手にあるのは、殺処分の執行者名簿だった。
ごく一部の者にしか閲覧できないそれには確かにスノーの名前が記載されている。
スノーは、あぁ…と嘆きに近い感情を抱きながらレオナの瞳を見つめ返す。
王族であるレオナならば、その名簿を見る権限がある。
もっとも、執行者名簿なんて見る機会のほとんど無いものだ。
確信を持ってわざわざ調べたのだろう。
別に何か悪い事をしている訳では無い。
何がなんでも隠したいわけでもない。
とはいえ…
今日はよくバレる日だ、と小さく心の奥で嘆いた。