それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第7章 核心には届かない
「ねーねースノーちゃん」
スノーの首筋に顔を埋めたまま、フロイドが小さな声で呼びかけた。
「ちょっと元気でたー?」
抱きしめる腕に少しだけ力がこもった。
痛くないように加減しつつも力強いその腕の中で、スノーはふっと頬を緩める。
天真爛漫なウツボに、不器用に心配されているらしいことだけはわかる。
「うん、ありがとう。」
「俺、心配してんだよ。
スノーちゃん痩せたし。
どうしたの?って聞いても教えてくれないし。」
顔をあげることなく、拗ねた口調でぽつりぽつりと呟くフロイドはさらにグリグリと額をスノーの首筋に押し当てる。
「俺ね、スノーちゃんのこと気に入ってんの
だから早く元気になってねー?」
それだけ言うと、フロイドは口を閉ざして目を瞑る。
腕にスノーを捕まえたまま、ウトウトと昼寝を始めたようだ。
ギュッと抱きしめられたまま、スノーは静かに微笑むと同じように目を閉じた。
背中に感じる温もりに包まれながら、寝不足気味なのもあって眠気はすぐに襲ってくる。
自分を気まぐれに性的に弄ぶフロイド
ユニーク魔法がチートで天敵なフロイド
苦手なはずのフロイド
そんな彼に、2人っきりの場で身を預ける程スノーは不安定になっていた。
誰も知り合いのいない世界に飛ばされて。
数少ない親しい友人とギクシャクしている中で感じた心細さは、本人が気づいていないだけで相当なものだった。
天敵にでもすがるほどに
タイミングよく甘やかしてくれるフロイドを利用しているのか。
それともフロイドがつけ込んでいるのか。
そのまま緩く眠りに落ちていく。
まるで付き合いたての恋人のように眠る2人は穏やかな昼寝の時を過ごした。